損傷デンプンの量と米粉の形状は米粉の製パン性に影響する

タイトル 損傷デンプンの量と米粉の形状は米粉の製パン性に影響する
担当機関 パン用小麦研究近中四サブチーム
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 荒木悦子
池田達哉
芦田かなえ
高田兼則
谷中美貴子
飯田修一
発行年度 2006
要約 米粉の損傷デンプンの量とパンの比容積との間には有意な負の相関がある。比容積が大きく焼成中に釜のびするパンができる米粉では複粒デンプンが保持され、損傷デンプンの量が少ない。
背景・ねらい 米の消費拡大を図る目的や各地域の特産物として米粉パンの製造が注目されている。しかし、これまで米粉は主に和菓子に利用されていたため、パンに適した米粉の評価基準がない。粒径が小さく、デンプンの損傷の少ない米粉が製パンに向くと言われており、各種の製粉法によるパン用米粉が販売されているが、明確な評価基準がない。そこで、パン用米粉の平均粒径、粒度分布、形状、および損傷デンプンとパンの比容積の関連を調査し、製パン性に関係する米粉の要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 調製方法の異なる7種類の米粉の製パン試験では、比容積は最小の2.0(米粉G)から最大の4.5(米粉A)に分布する(図1、表1)。米粉A、B、Dは焼成中に容積が増加し、釜のびする(図1)。米粉乾物重に対する損傷デンプンの割合は、最少の1.9%(米粉A)から最高の22.0%(米粉G)まで分布する(図1)。損傷デンプンとパン比容積との間には有意な負の相関があり(図1、r=-0.90**)、損傷デンプンの少ない米粉で作成したパンは比容積が大きい。
  2. レーザー回折式乾式粒度分布測定装置で測定した米粉の平均粒径は最小の5um(米粉G)から最大の76um(米粉C)まで分布する(表1)。平均粒径とパン比容積の間の相関はない(r=0.17)。
  3. 走査型電子顕微鏡により米粉の形状を観察できる。米粉A、B、Dにみられる20umのピークは複粒デンプン(図2-Ia)および多面体構造の単粒デンプンの凝集物(図2-Ib)から成り、60umのピークは角張りが取れた細胞断片(図2-Ic)から成る(図3-A、B、D)。米粉C、D、E、Fにみられる100umを超えるピークは角張った大きな細胞断片(図2-IIe)から成る(図3-C、D、E、F)。米粉Gにみられる8um付近のピークは多面体構造が壊れたデンプン(図2-III)から成る(図3-G)。
  4. 比容積が大きく釜のびするパンができる米粉(A、B、D)では、単粒デンプン、複粒デンプンの構造がともに保持されており、角張りが取れた細胞断片を含み、損傷デンプンの量が少ない(表1、図1)。釜のびしないパンができる米粉(C、E、F、G)では、複粒デンプンがなく、大きな細胞断片(米粉C、E、F)、あるいはデンプン構造をもたない微細粒子(米粉G)を多く含み、デンプン損傷の量が多い(表1、図1)。米粉A、B、Dでは、細胞膜に包まれた複粒デンプンの構造を保持させる粉砕方法をとることで、損傷デンプンの量を少なくしている。
成果の活用面・留意点
  1. 米粉の損傷デンプンの量や米粉を構成する粒子の形状観察は、パン用米粉の評価指針として利用できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010010532
カテゴリ 消費拡大 評価基準

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