プラントキャノピーアナライザーによるカンキツの樹冠葉面積の計測法

タイトル プラントキャノピーアナライザーによるカンキツの樹冠葉面積の計測法
担当機関 山口大
研究課題名
研究期間 2003~2007
研究担当者 岩谷 潔
山本晴彦
発行年度 2005
要約 カンキツ樹体の形状を単純な図形でモデル化することにより、樹高および4方位の樹冠半径、PCAによる4方位での透過光測定から、樹冠体積、葉面積密度、樹冠葉面積を推定する。推定した葉面積密度および樹冠葉面積は実測値と高い相関を示す。
キーワード カンキツ、樹冠葉面積、プラントキャノピーアナライザー、葉面積密度
背景・ねらい カンキツの連年安定生産を実現する上で、越年した旧葉の残存量や新葉の展開量を樹冠葉面積として把握し樹勢診断に活用することが重要である。現状の葉面積診断方法では樹体の葉数を計測し平均個葉面積と乗ずる必要があり、多大な時間と労力を要する。そこで、プラントキャノピーアナライザー(PCA)を用いた近接センシングによる樹体の透過光計測を実施し、樹冠葉面積を迅速に推定する手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. PCA(LAI-2000:Li-Cor製)は植物個体群の透過率(開空度)の天頂角分布を測定することにより葉面積指数あるいは葉面積密度、葉身傾斜角を推定する機器として、農学や林学分野で利用されているが、カンキツ樹のような孤立樹体での利用は少ない(写真1)。
  2. PCAによる測定は、樹体の4方位(例:北西、北東、南東、南西)方向について、樹体上方の入射光を測定した後、主幹から60cm離れた地点において樹体の透過光を測定する。PCAの受光部分には開度が90°のスリットを装着し、樹体中心に向け測定する。
  3. PCA測定と同時に樹高と4方位の樹冠半径を測定する。樹体の形状を樹高および4方位の平均樹冠半径を径とし、樹高方向を軸とする上に凸の回転半楕円体としてモデル化し、樹冠体積を計算する。また、主幹からの距離が既知(60cm)のPCA測定点について光学センサーの各測定天頂角(7,22,38,52,68°)の光路長(樹体内を透過光が通過する距離)を算出する(図1)。この場合、センサーの高さ(約3cm)は光路長に比して無視できる物とした。
  4. 樹体透過率の測定値はPCAのデータロガー部よりFV2000 Windows(r) Software(Li-Cor製)を用いてパーソナルコンピュータへ転送(テキストファイル)した後、表計算ソフトを用いて3.で算出する光路長を適用し葉面積密度を算出する(式1)。得られる葉面積密度は実測値をやや過小評価するが高い相関(1%水準で有意)を示す(図2)。
  5. 樹冠葉面積は4.で得られる葉面積密度と3.で算出される樹冠体積を乗じて算出する。得られる樹冠葉面積は値が大きくなるにつれ過小評価傾向が強くなるが、実測値と非常に高い相関(1%水準で有意)を示す(図3)。測定対象の樹冠葉面積が40m2以上のものを含む場合には過小評価程度を考慮した補正を行うことで、高精度の推定が可能である。
  6. 本方法による樹冠葉面積を用いて新葉展開前(4月)と展開後(7月もしくは8月)との差を算出した物と実測値は高い正の相関(R2=0.595、5%水準で有意)を示す。
  7. 本方法による1樹当たりの測定時間は実施者1名で数分程度であり、数名で数時間を要する従来の実測法に比して非常に効率的である。
成果の活用面・留意点
  1. PCAによる測定は直達光による影響を避けるため極力曇天日に行うことが望ましい。晴天の場合は散乱光が卓越する日の出あるいは日没付近に行う。
  2. 光学センサーによる透過光の測定時には、雑草等によるセンサーへの遮蔽を防ぐために事前に除草を行うかパネル等で地面を覆い、測定誤差を軽減する。
  3. 葉面積密度が実測値で6m2 m-3以上あるいは樹冠葉面積が約40m2以上となるような樹体においては、葉群の重なり合いをPCAでは正確に評価できない。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010010481
カテゴリ 雑草 除草 センシング その他のかんきつ

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