ワラビを防除するためのシバ型草地の刈払い管理

タイトル ワラビを防除するためのシバ型草地の刈払い管理
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2002~2005
研究担当者 高橋佳孝
井出保行
早坂貴代史
小林英和
佐藤節郎
福田栄紀
発行年度 2005
要約 西南暖地の里山におけるシバ草地造成期において、ワラビ優占状態からシバ優占状態へと遅滞なく誘導するためには、年3回程度の強度の刈払い処理を2年程度繰り返すのが効果的である。
キーワード シバ草地、ワラビ、刈払い、放牧、ウシ
背景・ねらい 西日本においては、寒地型牧草地の永続性がほとんど見込めない中で、永続性の高いシバ型草地は傾斜地でも放牧が可能な重要な草地の一つである。しかし、シバが定着した後に全面を被覆するまでの期間は、雑草やかん木類の防除が不可欠である。とくにワラビは、シバの生長を阻害するだけでなく、放牧牛のワラビ中毒を誘発するなどの悪影響を及ぼすため、効果的な防除法の確立が求められていた。ここでは、シバ型草地造成過程(シバーワラビ型植生)において、シバの競争種であるワラビを抑圧し、シバ優占植生への転換を促進するための刈払いの効果を、長期モニタリングと推移確率による植生動態診断によって明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ワラビの優占度が高い状態(相対優占度50∼100%)では、年1回の刈払いではワラビの優占状態が継続し、シバの拡大は極めて緩慢である。一方、年3回の刈払いを行うと、ワラビの優占度は急速に低下し、それに伴いシバの優占度が急速に増大する。
  2. 主な優占種の推移確率をみると、年1回の刈払いではワラビの自己回転率は78%と高く、優占種がシバへと交代する確率は極めて低い。一方、年3回の強い刈払い処理を行うと、ワラビの自己回転率は大きく低下し(11%)、直接またはその他の種を経由してシバ優占へと推移する確率が高まる(図1)。
  3. 得られた推移確率行列を利用して、優占種の変動をシミュレーションすると、年1回の刈払い条件下ではワラビ優占枠90%の状態(図2の94年度の状態)からシバ優占草地(シバの優占枠が50%以上)になるのに10年以上を要するが、年3回の刈払いでは2∼3年でシバ優占草地になるものと予測される(図2上段)。
  4. 一旦シバの優占状態が確立されると、シバの自己回転率が極めて高いことから、その後のワラビ防除のための刈払いは年1回程度ですむと推察される(図2下段)。
成果の活用面・留意点
  1. 西南暖地におけるシバ型放牧地の造成・維持、拡大のための参考となる。
  2. ワラビが消失するまでの年数と刈払いの効果は、ワラビの生育状況(初期値)によって異なる。初期値を推移確率モデルに当てはめることで、ワラビの生育状況に応じた刈払いの強度(回数)を選択することができる。
  3. 本成果は、鉱質土壌の温暖地で得られたものであり、土壌や気象条件の異なる場合は、別途検討を加える必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010010328
カテゴリ 寒地 傾斜地 雑草 防除 モニタリング わらび

この記事は