小麦、大麦種子を利用した遊離アミノ酸の生成

タイトル 小麦、大麦種子を利用した遊離アミノ酸の生成
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2002~2005
研究担当者 長嶺敬(栃木県農試)
野方洋一
柳沢貴司
発行年度 2005
要約 小麦や大麦種子の胚芽を含む部位を弱酸性下で水に浸漬するとアミノ酸を生成する。生成量の多いアミノ酸はバリン、イソロイシン、ロイシン等の分岐鎖アミノ酸(BCAA)、フェニルアラニン、リジン、トリプトファン等の必須アミノ酸、アルギニン及びg-アミノ酪酸(GABA)である。
キーワード コムギ、オオムギ、ふすま、胚芽、アミノ酸、BCAA、GABA
背景・ねらい  近年、健康志向の高まりに伴い、農産物中に含まれる多様な生理機能性成分の評価研究が実施されている。製麦副産物であるふすまの生産量は年間約130万トンにのぼり、その利用は家畜の飼料に限られている。ふすまには整腸作用をもつ食物繊維が含まれることは広く知られているが、他にも穀類特有の機能性成分が含まれている。そこで、小麦ふすまや大麦糠などの未利用資源のアミノ酸生成能を検討し、新たな付加価値を付与することを目的とする。 
成果の内容・特徴
  1. 種子粉砕物をpH5.5、40℃で1時間反応させることにより生成する主要なアミノ酸を表1に示す。ふくさやか小ぶすまでは、100g当たりロイシン、リジン、アルギニン、GABAを15mg以上生成する。高リジン大麦である裸麦中間母本農2号は初期濃度が高く、ロイシン、リジン、アルギニン、GABAを10mg/100g以上生成する。
  2. アミノ酸の生成は特定のプロテアーゼ阻害剤により抑制される(表2)。PMSFによる生成阻害からセリンプロテアーゼ、EDTAの生成阻害からジペプチダーゼやメタロプロテアーゼ、Pepstatin Aの生成阻害から酸性プロテアーゼ等の関与が考えられる。一方、E-64による影響が小さいことから、グルテンの分解に関与するシステインプロテアーゼの関与は低いと推察される。GABAの生成はプロテアーゼ阻害剤の影響を直接には受けない。
  3. 反応の最適pHはアミノ酸でpH4.0-5.0、GABAでpH5.5である。pH5.0の反応において、それぞれ最適pHのおよそ80%の量を生成する。また、反応2時間迄の最適温度はアミノ酸で45-50℃、GABAで40-45℃である。
  4. 小麦全粒粉、小ぶすま、大ぶすま、大麦全粒粉、糠のアミノ酸生成は処理開始から12時間迄アミノ酸の生成が継続する。ふくさやか小ぶすま12時間処理後のアミノ酸濃度は、100g当たりアルギニンが約90mg、リジンおよびロイシンが約80mg、バリンが約50mg、イソロイシンが約35mgであり(図1)、GABAでは約200mgである(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. BCAAの富化により筋肉疲労を軽減するスポーツドリンクとして、またGABAやその他のアミノ酸富化により健康飲料としての活用が考えられる。
  2. 裸麦中間母本農2号の利用用途の一つに麦茶が挙げられる。実用化のためには焙煎条件の検討が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010010318
カテゴリ 大麦 機能性成分 小麦 未利用資源 麦茶

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