集落営農型法人の農産加工部門における品目別生産コストと労働分配率

タイトル 集落営農型法人の農産加工部門における品目別生産コストと労働分配率
担当機関 島根農試
研究課題名
研究期間 2002~2004
研究担当者 永瀬勝正
瀧広志
竹山孝治
藤原建比古
発行年度 2004
要約 農産加工部門によって売上高を伸ばしている集落営農型法人は、農産加工によって新たな雇用を創出しているが、品目別生産コストに占める労務費の比率は高く、賃金の設定水準が法人経営に及ぼす影響は大きい。
キーワード 集落営農型法人、農産加工部門、品目別生産コスト、労務費
背景・ねらい 島根県内の集落営農型法人では、経営の安定化と多角化に向けた農産加工の取り組みが近年増加傾向にあり、経営体育成の視点から運営上の課題や展開方策の提示が求められている。そこで、集落内で生産した米や大豆などを中心に農産加工に取り組む集落営農型法人の事例をもとに、品目別生産コストや労働分配率などを分析して運営実態を明らかにし、今後の展開方向について検討する。
成果の内容・特徴
  1. A法人の農産加工部門における出役時間は、経営全体の55%に相当する8,108時間であり、品目別にみるともちが3,138時間で最も多く、特に年間45回の実演販売に2,073時間を要しており、他の主力商品ではみそが1,873時間、梅加工が1,354時間、笹巻きが789時間などである。農産加工部門の主要メンバーは女性6名であるが、月別労働時間は7月と8月を除いて500時間を超え、特にもち加工のピークである12月、みその仕込みピークの2月、笹巻きづくりの6月の出役時間が多くなっている。なお、もちの実演販売における1回の出役人員3名のうち2名は男性であり、加工部門の事業拡大は男性の出役1,218時間が前提となっている(表1)。
  2. A法人は18名の構成員からなる協業経営型の農事組合法人であり、加工原料を含む水稲・大豆生産のほか、施設野菜や水稲作業受託にも取り組んでいる。このうち、加工原料のもち米は水稲6.1haのうち1.2haで栽培し、収穫した5,850kgのうち3,383kgを加工している。大豆は0.8haで栽培し、収穫した1,840kgのうち1,170kgを加工している。加工品の品目別生産コストについてみると、いずれも労務費の比率が最も高く、特に笹巻きは65%と高く、次いでひらもち受託生産45%、みそ43%、ひらもち実演販売41%、あんもち実演販売35%となっている。また、ひらもちの実演販売では、受託生産に比べて労務費と販売経費が多くかかるために1個当り生産費が65.9円となり、受託生産の43.8円に比べて約1.5倍となっている(表2)。
  3. 農産加工部門の売上高は、経営全体の45%に相当する11,596千円であり、特にもち米を原料とする加工品が約5割を占めている。農産加工部門の売上高から変動費を差し引いた付加価値は7,030千円で、付加価値率は60.6%であるが、農業生産部門の70.8%に比べて低い。一方、付加価値に占める労務費の割合でみた農産加工部門の労働分配率は69.2%であり、農業生産部門の44.6%に比べて高く、米・大豆を主原料とする食品製造業の55%前後と比べても高い傾向にある。農産加工部門における仮払金の単価は時給600円であるが、仮払金を上回る従事分量配当を行うためには、売上高の向上と作業の効率化が必要である(表3)。

成果の活用面・留意点
  1. 調査対象は、農産加工部門の労働分配率が高く、賃金単価は低いものの付加価値を集落内へ還元している事例であり、農産加工の導入による経営多角化を契機として集落の活性化を図ろうとする法人の参考資料として活用できる。

URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010010150
カテゴリ 加工 経営管理 経営多角化 コスト 大豆

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