数種土壌消毒法によるホウレンソウケナガコナダニの防除

タイトル 数種土壌消毒法によるホウレンソウケナガコナダニの防除
担当機関 奈良農技セ
研究課題名
研究期間 2002~2004
研究担当者 小野大吾(南部農林振興事務所)
松村美小夜
中野智彦
福井俊男
発行年度 2004
要約 土壌中のホウレンソウケナガコナダニに対する太陽熱、蒸気、熱水、土壌還元消毒の防除効果はいずれも高い。経済性や省力性、処理時期から、短時間蒸気消毒処理が実用的で、春と秋の増加前の処理や多発時の次作被害防止対策としての利用が可能である。
キーワード ホウレンソウ、コナダニ類、土壌消毒、蒸気消毒、熱水消毒、太陽熱消毒、土壌還元消毒
背景・ねらい 近年,奈良県の中山間地域の施設ホウレンソウで春期及び秋期にホウレンソウケナガコナダニが多発し,加害された葉が奇形となり問題となっている。播種前のDCIP粒剤土壌処理と生育初期のDDVP乳剤2回散布を組み合わせて防除を行っているが、被害を完全に抑制できないことが多く、有効な防除対策が求められている。そこで,太陽熱土壌消毒や土壌還元消毒、熱水消毒、蒸気消毒等の土壌消毒法によるホウレンソウケナガコナダニの防除効果を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 太陽熱消毒、土壌還元消毒、熱水消毒、蒸気消毒、蒸気散水消毒、短時間蒸気消毒は、いずれも土壌中のホウレンソウケナガコナダニに対する効果が高く、処理1カ月~1カ月半程度は効果が期待できる(図1)。
  2. 慣行では数時間程度の処理時間が必要な蒸気消毒を、30分間だけ処理する短時間蒸気消毒でも高い防除効果が得られる(図1右、表1)。方法は、1畝に1本の蒸気注入ダクトを蒸気穴を上にして設置し、畝全体をビニルで被覆し、ビニルのすそを水封等で抑えた後、蒸気の注入を30分間行う。本処理により、深さ5cmの地温が80℃を越える。特に耕耘後に処理すると効果が安定し、雑草に対しても有効である。処理後、地温が下がればすぐに播種が可能である。
  3. 土壌消毒処理できない施設周辺部には、低密度ながらホウレンソウケナガコナダニが生息している(表2)。これらが処理後の施設に再侵入する可能性が高く、処理2カ月半を経過すると被害が発生した事例を確認している(表3)。
  4. 以上のことから、処理時期の制約を受けず、処理時間も短く、処理後速やかに播種できることから、短時間蒸気消毒処理が実用的で、春期及び秋期の増加前の処理や多発時に次作の被害を防止するための防除技術として利用するのが適当である。

成果の活用面・留意点
  1. ホウレンソウケナガコナダニ雌成虫は,40℃で9時間後には約80%が死亡し,24時間後には全個体が死滅,45℃では3時間以内に全個体が死滅する(春日,2000)。本種は土壌表層部及び深さ1~5cmの土壌中にそのほとんどが生息しているので、その部分を重点的に温度上昇させる。
  2. 熱処理時の地温上昇むらによる効果不足や、農機具等に付着した本種を処理後の土壌に持ち込む可能性がある。そのため、蒸気消毒処理に当たっては1畝ずつ蒸気注入ダクトを設置し、その上に被覆したビニルのすそを水封等で隙間無く抑える必要がある。また、処理後の耕耘等の作業は避け、速やかに播種する。
  3. 熱水消毒では土質により処理後に土壌水分が過多になり、耕耘作業が可能になるまで20日程度かかる場合がある。また、土壌還元消毒では処理後に強い嫌気臭が発生する。太陽熱消毒では、初夏~夏期の処理では晩秋まで効果の持続が期待できず、春期、秋期処理では地温上昇不足が懸念される。
  4. 本種を長期間低密度に管理するには、土壌消毒だけでなく、未熟な有機物施用を控える、農薬等の防除技術と組み合わせるなど、総合的な対策に取り組む必要がある。

URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010010132
カテゴリ 雑草 中山間地域 土壌消毒 土壌処理 農薬 播種 ほうれんそう ホウレンソウケナガコナダニ 防除

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