タイトル |
ファゼオロトキシンを産生しないキウイフルーツかいよう病菌の出現 |
担当機関 |
愛媛果樹試 |
研究課題名 |
|
研究期間 |
2002~2004 |
研究担当者 |
三好孝典
清水伸一
楠元智子(愛媛防除所)
澤田宏之(農環研)
|
発行年度 |
2004 |
要約 |
キウイフルーツかいよう病発生園のうち、ハローを伴わない病斑のみの園地が複数認められた。これらの園地からは、ファゼオロトキシン産生遺伝子群(argK-tox cluster)を有しているが、その産生能を失っているかいよう病菌のみが分離される。
|
キーワード |
キウイフルーツかいよう病、argK-tox cluster、ファゼオロトキシン非産生
|
背景・ねらい |
キウイフルーツかいよう病菌は、通常大きなハローを伴った褐斑病斑を葉に形成する。しかし、愛媛県内において、ハローをまったく伴わない褐斑病斑のみの本病発生園が複数認められたので、その原因について調査を行った。
|
成果の内容・特徴 |
- 愛媛県内のキウイフルーツかいよう病発生園において葉の病斑直径を調査したところ、伊予市発生園では大きなハローを伴い病斑が大きく、松山市および砥部町発生園ではハローを伴わなかいために病斑が小さいという傾向が認められる(表1)。
- 発生園から分離されたキウイフルーツかいよう病菌のargK-tox clusterおよびファゼオロトキシン産生能を調査した結果、すべての菌株がargK-tox cluster を有しているが、松山市および砥部町分離株はすべてファゼオロトキシン非産生株である(表1)。
- ファゼオロトキシン産生株2菌株と非産生株2菌株を用い、4つの必須遺伝子(gyrB、rpoD、recA、groEL)の塩基配列を比較した結果、塩基置換がまったく認められないことから、これらは遺伝的にほぼ同一であると考えられる。
- ファゼオロトキシン非産生株は産生株に比べ明らかに葉の病斑が小さく、枝に対する病原性は弱い(表2)。
- 以上のことから、今回見出されたファゼオロトキシン非産生株は、argK-tox cluster を有しているかいよう病菌が、何らかの理由でその産生能を失ったものと考えられる。argK-tox cluster を有しながらファゼオロトキシンを産生しないかいよう病菌のみが分離される発生園は今まで報告がない。
|
成果の活用面・留意点 |
- argK-tox clusterにおけるファゼオロトキシン産生遺伝子の発現メカニズムに関する研究が可能になる。
- ファゼオロトキシンが発病過程において果たしている役割の解明が可能になる。
|
URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010010112 |
カテゴリ |
キウイフルーツ
|