辛味果実の出にくい万願寺トウガラシ新品種候補「京都万願寺1号」

タイトル 辛味果実の出にくい万願寺トウガラシ新品種候補「京都万願寺1号」
担当機関 京都農総研
研究課題名
研究期間 1998~2002
研究担当者 稲葉幸司
寺岸明彦
中島博道
南山泰宏
鈴木茂夫
発行年度 2003
要約 強い辛味果実の発生が問題となっている万願寺トウガラシについて、葯培養を利用して、辛味果実の発生が極めて少ない品種を育成した。本品種は、舞鶴系統に比べて、早生で初期収量が多く、果実はやや短くて太い。
キーワード トウガラシ、甘トウガラシ、辛味果実、葯培養、早生
背景・ねらい 京都府特産品目の万願寺トウガラシは、大果の甘トウガラシとして東京市場でも人気の高いブランド野菜のひとつである。しかし、栽培環境で時折発生する激しい辛味を伴った果実が混入して販売され、市場で大きな問題となっている。
そこで、既存の遺伝資源の中から系統選抜および葯培養により、辛味果実の発生が少ない万願寺トウガラシ品種の育成を行う。
成果の内容・特徴
  1. 本品種は1973年に収集し保存していた舞鶴在来万願寺トウガラシから1997年に辛味が少ない個体として選抜したNo.12を挿し木増殖し、葯培養により固定を行い、その中から最も辛味の少ない個体を選抜して育成した品種である。
  2. 辛味果実の発生は栽培期間を通して極めて少ない。特に辛味果実の発生しやすい収穫初期には舞鶴市生産系統(以下、舞鶴系統)では辛味果の発生が著しいが、本品種はほとんど発生しない(図1)。
  3. 収量性は舞鶴系統と同程度であり、また、早生性で収穫初期の着果数が多いため、初期収量は高い(図2)。
  4. 果実形質としては舞鶴系統に比べて果実が太く、1果実重が約2割重いが、果実の先端部分の伸びと尖りが少ないため、時折先端部分がシシトウ状になることがあり、果実長はやや短くなる(図3)。
  5. 草姿はやや開張性で節間が短く、ハウス栽培に適している(図4)。

成果の活用面・留意点
  1. 山間部で栽培すると低温によりアントシアニン着色果実の発生が認められることがある。
  2. 本品種は舞鶴系統と比べて着果率が高いため、成り疲れを起こさないような肥培管理、整枝・せん定を行う必要がある。
  3. 本品種は、品種登録出願中である。

カテゴリ 遺伝資源 挿し木 ししとう 新品種 とうがらし 肥培管理 品種