環境に配慮したバラの新養液栽培システムの技術評価と導入要因

タイトル 環境に配慮したバラの新養液栽培システムの技術評価と導入要因
担当機関 愛媛農試
研究課題名
研究期間 2002~2003
研究担当者 山本和博
藤堂 太
発行年度 2003
要約 バラの新養液栽培システム導入のためには、実証試験等で普遍的な技術効果を認識させるとともに、技術面では養液で媒介する病菌の防除対策や養液組成の乱れを示す指標作成等の対策を講じることで、導入の可能性がより大きくなる。
キーワード バラ、新養液栽培システム、排液処理、技術評価、導入意向
背景・ねらい バラの養液栽培では、給液量の20~30%が排出されており、この対策が急務の課題となっている。このため、愛媛農試では排液量を76%低減する新養液栽培システムを開発し、現在その普及を検討している。そこで、愛媛県内主産地のT農協バラ部会員24名(配布27名・回収24名、回収率88.9%)を対象とした環境保全に対する意識調査や技術評価をもとに、同システムを導入・普及させるための諸要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. バラ養液栽培の排液を河川や水路に流出する処理に対して、生産者の91.7%が「環境汚染につながる」と認識しており、70.9%が「ひけめ」を感じている。また排液処理は79.1%が「自己の責任において適正に処理すべきである」と自覚し、62.5%が「法律等の規制が強化されるべきである」と認識している(図1)。
    一方で、適正な排液処理ができない理由は、92.9%の生産者が「具体的な利用手段や利用作物がない」ことを指摘している。
  2. 環境に配慮した新養液栽培システムの効果に対するバラ生産者の技術評価は「肥料費の50%低減」については100.0%の生産者が、効果が大きいと評価している。以下、「排液量の76%低減」「地下水など給液水量の40%低減」「切り花本数の2%増加」はそれぞれ91.7%、91.7%、66.7%が、効果が大きいと評価している。
    また、同システムの欠点のうち、「病害の蔓延の可能性あり」「71,133円/100m2の新規設備費用」「養液組成が乱れる」ことについては、それぞれ79.2%、79.2%、74.9%の生産者が、欠点が大きいと評価している(表1)。
  3. この新養液栽培システムに対する現段階での導入意向は、「今度の改植時に導入する」意思を示した生産者はいないものの、45.8%が「他の生産者の動向をみながら導入する」としている。しかし、50.0%は「導入しない」としており、その導入阻害要因は、「病害の蔓延の可能性あり」が最も高く41.7%、次いで「自己の経営においても同様の効果があるのか不安」が33.3%、「養液組成が乱れる」が20.8%である(表2、図2)。
  4. 以上より、バラ生産者は環境保全遵守の意向が強いことが理解され、同システム導入の阻害要因を解消するためには、実証試験を増やし、どの農家においても普遍的な技術効果があることを認識させるとともに、技術面では養液で媒介するPythium菌(根腐病)・Rhizoctonia菌(立枯病)の蔓延を防ぐ緩速ろ過装置の併設や養液組成の乱れを示すEC値による指標作成等の対策を講じることで、同システム導入の可能性がより大きくなるものと考えられる。

成果の活用面・留意点
  1. 技術開発者において、新養液栽培システム改良の判断基準となる。
  2. 指導機関において、同システム導入のための参考となる。

URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010009936
カテゴリ 改植 経営管理 立枯病 根腐病 ばら 防除 養液栽培

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