タイトル |
ソラマメ催芽種子を利用したコナカイガラムシ類の簡易飼育法 |
担当機関 |
島根農試 |
研究課題名 |
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研究期間 |
2000~2004 |
研究担当者 |
奈良井祐隆
澤村信生
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発行年度 |
2003 |
要約 |
ソラマメ種子を流水中に3~4日さらし,わずかに発根させるとコナカイガラムシ類の餌として継代飼育に利用できる。
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キーワード |
コナカイガラムシ類、飼育、ソラマメ催芽種子
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背景・ねらい |
近年、ブドウ、カキ、ナシなどの果樹類においてコナカイガラムシ類の発生が急増している。コナカイガラムシ類の防除を考える上で生態や薬剤の情報は欠かせないものであり、これらの情報を得るためには室内での飼育が必要となる。従来、コナカイガラムシ類の飼育にはカボチャ果実やジャガイモの芽出し、鉢植えのウンシュウミカン等が用いられていた。しかし、これらの飼育法は飼育植物の調整に時間と労力がかかること、薬剤による汚染や天敵の混入の恐れがあることなど、いくつかの問題点があった。そこで、ソラマメ催芽種子を利用したコナカイガラムシ類の簡易な飼育法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 飼育に使用するソラマメ催芽種子はレース鳩の餌用ソラマメを流水に3~4日さらし、わずかに発根したものである(図1)。
- 紙タオルを敷いた飼育容器にソラマメ催芽種子を底面面積の1/3~1/2を目安に入れ、コナカイガラムシ類の卵、成幼虫を接種する。その後は催芽種子の消耗に応じて追加する。飼育容器は密閉できる容器(例:縦14.8cm、横9.4cm、深さ3.5cmのタイトタッパー)を用い、蓋等に通気用の穴(直径1~3.5cm)を開け、目合い60~80μ程度のゴースで塞ぐ。湿度は通気用の穴を文字修正用テープ等で一部分塞ぎ、調整する(図1)。
- ソラマメ催芽種子はフジコナカイガラムシの場合、ウンシュウミカン切葉と黒皮カボチャ果実に比べ発育と増殖の面で優れている(表1)。
- 餌としてのソラマメ催芽種子は調整に時間と労力がかからず、薬剤による汚染や天敵混入の恐れがない。
- 本法で飼育できるコナカイガラムシ類はフジコナカイガラムシ(図2)の他にクワコナカイガラムシ、マツモトコナカイガラムシ、パイナップルコナカイガラムシ、キュウコンコナカイガラムシなどである。
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成果の活用面・留意点 |
- 本飼育法によりコナカイガラムシ類の多くの系統が狭い空間で飼育でき、生態調査や薬剤感受性試験に利用できる。
- ソラマメ催芽種子は低温(3.5℃程度)で1ヶ月程度保存できる。また、乾燥したソラマメ種子は5℃で数年間保存できる。
- 本飼育法ではコナダニ(未同定)が発生することがある。コナダニが低密度の時にはコナカイガラムシ類の発育、増殖に大きな影響はないが、密度が高まるとコナカイガラムシ類の増殖に影響するので飼育環境を清潔に保つ。
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