成分情報表示による夏季ホウレンソウの市場競争力

タイトル 成分情報表示による夏季ホウレンソウの市場競争力
担当機関 広島農技セ
研究課題名
研究期間 2002~2004
研究担当者 諌山俊之
房尾一宏
川口岳芳
北野剛志
発行年度 2002
要約 209円/200gの慣行のホウレンソウと比べて、2倍のビタミンCは30円増、2倍の鉄分は52円増、硝酸が欧州連合の基準値以下は83円増の価格で市場競争力が等しくなる。しかし、3成分を混在させた商品では、消費者は硝酸の価値しか認識しなくなる。
背景・ねらい 広島県立農業技術センターでは施肥改善や光質制御によって、内容成分を向上させた夏季のホウレンソウ(高ビタミン・高鉄分・低硝酸)の栽培技術を研究中である。しかし、技術成果として、慣行栽培に比べて生産費が増加、もしくは単位収量が低下することが予想され、どの程度の単価で販売可能であるかを推計することが、技術開発の目標値を設定する上でも、また、生産者が生産・販売戦略を立てるための情報としても求められている。
そこで、選択型コンジョイント分析によって、ホウレンソウに「成分情報」を仮想的に表示した場合の、慣行のホウレンソウに対する市場競争力(選択確率が等しくなる価格)についてシミュレーション分析を行う。調査対象は広島市の一般世帯(電話帳データベースから1000世帯を単純無作為に抽出)とし、郵送法によるアンケート調査を実施した。表1に示す属性と水準を設定し、それらを組み合わせた図1のような設問方法で調査した。
成果の内容・特徴 1.
ビタミンCと鉄分のみを表示した場合、209円/200gの基準のホウレンソウと比べて、2倍のビタミンCを含むものは30円増、2倍の鉄分を含むものは52円増で市場競争力が等しくなる(表2)。したがって、消費者が望んでいるホウレンソウは、内容成分のプラス要因として高ビタミンCよりも高鉄分のものである。また、各属性とも3倍の水準になっても、その価格にほとんど差が見られないことから、技術開発の目標値として、ビタミンCと鉄分の成分量は、2倍あれば十分である。
2.
硝酸のみを表示した場合、209円の基準のホウレンソウと比べて、硝酸がEU(欧州連合)基準値以下のものは83円増で市場競争力が等しくなる(表2)。また、水準がEU基準値の半分以下になっても、その価格にほとんど差が見られないことから、技術開発の目標値として、硝酸に対しての基準値は、EUと同程度で十分である。
3.
ビタミンCと鉄分と硝酸を表示した場合、ビタミンCと鉄分には基準と価格差がない水準が生じ,価格差がある場合でもビタミンCと鉄分のみを提示した場合と比べて低い(表2)。これは、商品属性としてプラス要因(ビタミン、鉄分)とマイナス要因(硝酸)を混在させた商品では、消費者はマイナス要因のみに着目して商品を選択し、プラス要因の価値を認識しなくなることを意味する。
成果の活用面・留意点 1.
内容成分を向上させる栽培技術を研究する上での参考となる。
2.
アンケート調査の前に行ったグループインタビューの結果より、ホウレンソウに硝酸が含まれていることを消費者に伝えることで、ホウレンソウ全体の購入量が低下する可能性が示唆されたことから、これについての情報公開は慎重に行う必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010009705
カテゴリ 栽培技術 施肥 データベース ほうれんそう

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