タイトル | 密閉した傾斜ハウス内の温度分布を推定する流体力学モデル |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究課題名 | |
研究期間 | 2000~2003 |
研究担当者 |
関 平和(金沢大工学部) 柴田 昇平 菅谷 博 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 本モデルは、傾斜ハウス内の微視的な環境を解析するモデルであり、境界面温度算出モデルによって求められたハウス内の土壌表面と被覆資材の温度を境界条件として、密閉した傾斜ハウス内の温度分布と空気の流れを推定できる。 |
キーワード | 傾斜ハウス、モデル、温度環境、シミュレーション |
背景・ねらい | 密閉された傾斜ハウスでは、斜面の上下方向に数度にもおよぶ温度差を生じ、ハウス内の作物生育速度に場所的な差が生じる。そこで境界面温度算出モデルと組み合わせ、任意の日時・傾斜面における傾斜ハウス内の温度分布を予測できるモデルを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 傾斜ハウス内に発生する流れをグラスホフ数を使い判定すると、乱流状態であると推定できることから、ハウス内の環境解析は乱流モデル(0方程式モデル)で作成できる。作成したモデルは、ハウス内各座標点での連続式、運動方程式、熱収支式からなり、プログラミングと計算の簡略化のため、Boussinesq近似を施し、さらに渦度と流れ関数を導入している(式1~3)。 2. ハウス内温度の計算結果と実測値を晴天日(11/6)と曇天日(10/23)の日中について比較したのが図1である。斜面下端から上端の方向に緩やかに上昇すること、床面からの位置が高いほど温度が高くなるなど、両者の変化の傾向、値ともよい一致を見ている。 3. モデルの計算から得られた、晴天日における日中と夜間のハウス内温度分布と空気の流れ分布のシミュレーション結果を示す(図2)。夜間、両妻面で冷却されるため、ハウス上端から傾斜方向下方に4mの位置で最高温度を示し、そこを境に回転方向が逆の2つの渦が形成されていることが分かる。一方日中は、被覆資材の温度が土壌温度よりも上昇するため、温度成層が形成され、空気の流れは非常に小さい。これらの温度分布や空気の流れの傾向は実測と同じである。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本モデルでは、傾斜ハウスを密閉・無植生状態としている。実際のハウス内の温度は、妻面や側面の開放状態や栽培されている作物の種類によって大きく影響を受ける。 2. モデルはFortran言語で記述して数値計算され、入力するパラメータは対象傾斜ハウスの規模と地形条件および外部気象条件(気温・日射量)である。 |
URL | http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010009574 |
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