受胎率の高い牛雌雄判別胚の超急速ガラス化保存技術

タイトル 受胎率の高い牛雌雄判別胚の超急速ガラス化保存技術
担当機関 群馬県畜産試験場
研究課題名
研究期間 2005~2008
研究担当者 川島敬二
発行年度 2008
要約 牛雌雄判別胚の保存に80%VSEDをガラス化液に用いた超急速ガラス化法を行うと、従来の緩慢凍結法やガラス化法に比べ、保存後の生存性が高くなり、移植受胎率が向上する。
キーワード 雌雄判別胚、超急速ガラス化保存、移植受胎率
背景・ねらい 胚の一部を切除された雌雄判別胚は、凍結保存後の移植受胎率が30%程度と低いことから、新鮮胚での移植が主流である。そのため、供胚牛と受胚牛の発情同期化処理が必要不可欠となり、自然発情牛への移植は困難な状況にある。保存された雌雄判別胚の移植受胎成績が改善されれば、受胚牛への発情同期化処理が必要無くなることや、受胚牛の頭数以上に採胚できた場合の保存など、雌雄判別胚の効率的な利用の拡大が図られる。 そこで、当場で低品質胚および体外受精胚の保存法として有効性を確認した超急速ガラス化法を雌雄判別胚の保存に応用し、受胎率向上技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. ガラス化液は、エチレングリコール(EG)とDMSOを各20%含有する溶液(80%VSED)を用いる(図1)。
  2. 胚の保存容器は、群馬県畜産試験場で開発した安価な0.25mlの胚移植用ストローを加工したもの「群畜式簡易保存ストロー」を用いる(図2)。
  3. 超急速ガラス化保存した雌雄判別胚は、10%EGを耐凍剤に用いた緩慢凍結法またはEGとDMSOを各25%含有する溶液(VSED)をガラス化液に用いた従来の保存方法に比べ、加温後の培養による生存率が高い(図3)。
  4. この生存率を発育ステージ別(後期桑実胚、初期~胚盤胞、拡張胚盤胞)および品質別(Aランク、Bランク)に従来のガラス化法と比較すると、いずれも超急速ガラス化法の方が高い(図4)。
  5. 超急速ガラス化法で保存した雌雄判別胚の移植受胎率は、68.4%(13/19)である。後期桑実胚から拡張胚盤胞のどの発育ステージにおいても60%以上であり、またAランク胚では80%、Bランク胚でも40%の受胎率である。
成果の活用面・留意点
  1. 本法は、従来のガラス化法でのストロー封入などの熟練を要する胚操作やプログラムフリーザーを必要とせず、顕微鏡等の一般的な胚移植器具、機材を用いて行える。
  2. 本法により、自然発情牛も受胚牛に供用できるため、発情誘起に費やす経費、労力が軽減される。
  3. 雌雄産み分けによる優良後継牛の効率的な生産が可能となる。
  4. 胚のガラス化液への平衡液ならびに加温・希釈液への浸漬時間と温度は、胚の生存性に影響を及ぼす要因となるため厳守する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010009070
カテゴリ 加工 受胎率向上

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