ダイズ硬実の種皮表面微細構造の特徴と吸水性の回復処理

タイトル ダイズ硬実の種皮表面微細構造の特徴と吸水性の回復処理
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 乙部和紀
吉岡邦明(筑波大
日東食品(株))
発行年度 2007
要約 ダイズ「タチナガハ」に発生した硬実(石豆)は、種皮表面の微細な孔隙構造が極端に少ないため、正常粒に比べて吸水性が劣る。硬実種皮表面に深さ20マイクロメートル程度のキズを1平方ミリメートルあたり約10個形成すると、吸水性が回復する。
キーワード ダイズ、石豆、種皮微細構造、孔隙、吸水性
背景・ねらい ダイズの硬実(石豆)は、品質指標上、裂皮粒やシワ粒と同じ障害粒に分類される。硬実の問題は、水に長時間浸漬しても吸水しないにもかかわらず、吸水前の外観(目視)では正常粒と区別できないことにある。特に納豆や煮豆の加工で、硬実は吸水工程で十分に吸水せず、小石のように硬いままなので食用に適さず、問題となっている。また、吸水させてはじめて硬実であることが確認可能となるため、他の障害粒のように事前の機械的な選別除去が困難である。本成果情報では、硬実混入率が約1.5%(新鮮重)であった納豆用原料の形態学的調査に基づき、種皮表面の微細構造変化と「硬実化」の関連性、ならびに硬実に吸水性を回復させる方法を明らかにする。

成果の内容・特徴 1.
タチナガハ(平成17年埼玉県産納豆用原料)で発生が確認された硬実では、正常粒と比較して大きいなど、種子形状に有意な差異がみられる(表1)。
2.
種皮表面の微細構造は、レーザ走査型三次元微細形状計測顕微鏡を用いることにより、乾燥や組織固定などの前処理をしなくても、容易に観察・計測できる。これを利用した観察結果では、吸水性のある(正常な)タチナガハの種皮表面には微細な孔隙構造がみられるのに対して、硬実には非常に少ない(図1)。
3.
微細形状計測結果から、直径と表面陥入深さが10マイクロメートル以上ある微細孔隙を抽出して計数することにより、硬実と正常粒の差異について定量的に比較できる。正常粒の微細孔隙数は平均44.8個に対して硬実では3.2個であり、硬実は種皮表面の微細孔隙量が少ないことを特徴としている(表1)。
4.
供試した硬実は、浸漬・乾燥の繰り返しで種皮に亀裂ができると吸水性が回復し、吸水曲線の傾きも正常粒と変わらない(図2)。
5.
市販の粗研用砥石上で種子を軽く押さえて転がすと(図3)、硬実表面全体に、深さ約20マイクロメートル(種皮厚の約5分の1)、長さ約100マイクロメートルの微小なキズを、1平方ミリメートルあたり約10個形成できる。この処理により、浸漬1時間後の吸水量は正常粒の約3分の1まで回復する。

成果の活用面・留意点 1.
吸水性回復方法はタチナガハ以外の品種にも適用可能であり、一般的な硬実発生への対処方法として、「検出して選別除去する」のではなく、「正常な種子に戻す」手法として活用できる。機械的にキズをつける手法は特許申請中である。
2.
砥石による吸水性回復処理を施す場合には、種子への強い圧迫や裂皮の形成を避け、胚・胚乳への機械的ダメージを最小限に止めることが必要である。

URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010008994
カテゴリ 加工 乾燥 しわ粒 大豆 品種

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