施設スイートピーに発生した可給態リン酸過剰による葉身白化症状

タイトル 施設スイートピーに発生した可給態リン酸過剰による葉身白化症状
担当機関 神奈川農技セ
研究課題名
研究期間 2006~2007
研究担当者 岡本保
山田裕
発行年度 2007
要約 施設栽培スイートピーで、開花が始まる12月以降に下位葉から葉身が白化し、やがて上位葉にまで進展する症状が見られている。この原因は土壌の可給態リン酸過剰である。リン酸過剰畑では可給態リン酸を指標とした改善が必要である。
キーワード スイートピー、リン酸過剰症、葉身白化
背景・ねらい 施設栽培スイートピーで、開花が始まる12月以降に下位葉から白化が始まり、激しくなると上位葉にまで白化が進展する症状が、数年前から見られている。発症株は花柄が短くなるため、切り花品質が低下し現地で問題となっている。そこでこの原因を解明する。

成果の内容・特徴 1.
現地での発症は開花が始まる12月頃から始まり、栽培が終了する4月まで続く。下位葉から葉身の白化が始まり、徐々に上位葉に進展する。外見上はカリ欠乏にも類似している。発症株は花柄が短くなり、切り花品質が低下する(図1)。
2.
現地の発症株及び未発症株の葉身、葉柄、茎の養分含量を比較すると、発症株は全ての部位で、リン含量が未発症株の約2倍の値を示す。カリ及びその他の元素濃度には差が見られない(表1)。
3.
現地ハウス土壌の分析結果では、可給態リン酸濃度が発症株周辺土壌、未発症株周辺土壌ともに高濃度であるが、両土壌を比較すると、発症株周辺がより高濃度である。カリ飽和度は発症土壌、未発症土壌とも診断基準の上限値付近である。その他の項目はほぼ適正な値である(表2)。
4.
現地土壌(褐色低地土)を用いたポット試験の結果、発症土壌、未発症土壌とも、リン酸を増肥(重焼燐および過石を併用し、リン酸成分で200mg/100gおよび300mg/100g相当をポット土壌に施肥)することによって、白化症状はさらに助長される。また茎葉部リン含量も高まる。発症土壌を非耕地土壌(火山灰土)で2倍に希釈した処理区は、白化症状の発生が最も少なく、生育良好となる(表3)。
5.
養液栽培でリンを増施した場合、園試処方の5倍濃度(Pとして200mg/L)で3週間経過しても症状は現れず、25倍濃度(1000mg/L)に高めて1週間後から徐々に発症し、2週間後からは顕著に白化症状が現れ、現地と同様の症状が再現される(図1)。
6.
2006年に土壌診断を行った県内スイートピー117圃場の可給態リン酸濃度(mg/100g)は、平均値158,最大値520,最小値23であった。また300mg/100gを超える高濃度圃場が15圃場あり、白化症状はこれらの圃場の一部で見られている。

成果の活用面・留意点 1.
白化症状の直接の原因は可給態リン酸過剰と考えられるが、現地圃場での発症にはばらつきがあり、リン酸濃度が高い圃場でも発症しない株も見られる。作土の可給態リン酸濃度以外の、白化症の発生を助長する、他の誘因についても検討する必要がある。
2.
可給態リン酸含量が県診断基準値(40-80mg/100g)を上回る場合は、リン酸施肥は不要である。リン酸含量がとくに高い場合には、客土、下層土との混層耕、天地返し等の低減対策を行う必要がある。

URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010008991
カテゴリ 施設栽培 施肥 土壌診断 養液栽培

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