新たな豚受精卵のガラス化保存技術(MMV法)の開発

タイトル 新たな豚受精卵のガラス化保存技術(MMV法)の開発
担当機関 埼玉農総研
研究課題名
研究期間 2004~2006
研究担当者 藤野幸宏
中村嘉之
小林博史
発行年度 2006
要約 ステンレス製の小さな金網に、豚受精卵および凍結媒液を付着させて直接液体窒素中に浸漬してガラス化する方法(MMV法)を開発した。この方法は、従来法と比較して、特別な器具を要さず、かつ、簡単に受精卵をガラス化保存できる。また、保存後に雌豚に移植することで良好な受胎成績が得られる。
キーワード 豚、受精卵、MMV法、ガラス化保存、移植
背景・ねらい 豚受精卵の凍結保存技術は、優良遺伝資源の長期保存と有効利用、疾病の防除および豚の輸送コストの大幅な削減に応用できる。しかし、従来法には、保存後の発生率が極めて低いという問題があり、技術の確立が望まれている。ところが、最近、受精卵を小量の溶液とともに直接液体窒素中で急速に冷却するガラス化技術により、高い発生率および移植後の受胎率が報告されている。しかし、この方法の多くには特殊な器具が必要で、手法が複雑である。そこで、特殊な器具を必要とせず、手法が簡単な超急速冷却法による豚受精卵のガラス化技術を確立する。

成果の内容・特徴 1.
豚受精卵としては、生後7~8ヶ月齢の未経産豚にeCGおよびhCG処理し、6日目(hCG投与日=0日目)の桑実期胚および7日目の拡張期胚盤胞を用いる。
2.
受精卵を7.5%エチレングリコール(EG)+7.5%DMSO+20%FBS加PBS液中で5分間平衡後、15%EG+15%DMSO+0.6Mトレハロース+20%FBS加PBS液中に移して1分間平衡し、ステンレス製(目開き75µm)の金網(幅1.5mm、長さ8-10mmで、一方を垂直に3mm折り曲げた形状)ですくい金網に付着させた後、直接液体窒素中に浸漬して保存する(MMV法)(図1)。
3.
金網を37℃に温めた0.5Mトレハロース+20%FBS加PBS液に投入して、受精卵を融解し5分間平衡する。10%FBS加NCSU37(培養液)中で受精卵を5分間平衡後、培養もしくは未経産豚(5日目)に移植する(図1)。
4.
MMV法によりガラス化した拡張期胚盤胞の生存率は84.4%と高いが、桑実期胚では55.0%とやや低いことから、本法による豚受精卵の保存には拡張期胚盤胞が適している(表1)。
5.
MMV法によりガラス化した受精卵の透明帯には、微細な亀裂が発生した(拡張期胚盤胞では28.1%、桑実期胚では10.0%)(表1)。
6.
MMV法でガラス化した拡張期胚盤胞20個ずつを雌豚10頭に移植することにより、7頭が38頭(死産1頭を含む)の子豚を分娩したことから、豚受精卵の保存に利用できる(表2)。

成果の活用面・留意点 1.
ステンレス製の金網は、安価で容易に手に入る。また、手法も簡単なため、広くこの技術を利用できる。
2.
桑実期胚は拡張期胚盤胞よりもガラス化後の生存率が低いため、新たな技術の開発が必要である。
3.
ガラス化後の胚の透明帯に亀裂が発生すると外部からの細菌などの侵入を受けるので、胚の取扱いには注意を要する。

URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010008550
カテゴリ 遺伝資源 コスト 防除 輸送

この記事は