塩化カルシウムによるダイズレトルト煮豆の裂皮・ヌメリ発生抑制技術

タイトル 塩化カルシウムによるダイズレトルト煮豆の裂皮・ヌメリ発生抑制技術
担当機関 富山食研
研究課題名
研究期間 2000~2003
研究担当者 中川義久
発行年度 2005
要約 ダイズのレトルト煮豆製造時の浸漬工程において、使用する浸漬水に塩化カルシウムを最終濃度0.75%になるように添加することにより、製品の裂皮とヌメリの発生を抑制することができる。
キーワード ダイズ、レトルト煮豆、塩化カルシウム、浸漬工程、裂皮、ヌメリ
背景・ねらい レトルト煮豆は、十分に吸水させたダイズを調味液とともに包装後、レトルト釜で加圧加熱殺菌し、常温で長期保存可能にする。富山県産エンレイは、煮豆用として県内外で高い評価を得ているが、レトルト煮豆にする場合、裂皮(皮剥け)やヌメリが発生し製品の歩留まりや品質を低下させている。そこで、本研究では、種々の食品で品質改良剤として利用されているカルシウムを用い、裂皮とヌメリを抑制し、富山県産エンレイに適したレトルト煮豆製造方法を開発する。

成果の内容・特徴 1.
エンレイ(大粒)100粒を0~1.5%塩化カルシウム溶液150ml(浸漬水)に20℃16時間浸し、水切り後100mlの水で121℃10分間加熱する方法でレトルト水煮大豆を試作する。
2.
塩化カルシウム0.75%の添加で、水の場合47% あった裂皮率を9%に抑えることがでる(図1)。この効果は、塩化ナトリウムでは認められず、種皮にカルシウムの吸着が確認される(表1)ことから、浸漬時の種皮内と外の浸透圧の差ではなく、カルシウムの結合により種皮が強固になるためと考えられる。
3.
塩化カルシウム0. 5%添加で、水煮液の粘度(相対グリセリン濃度)は、37%が24%まで低下し、問題となるヌメリは感じない(図2)。 ヌメリは、加熱により溶出した多糖類などがレトルト加熱により結合し、増粘物質が生成して(図3)発生する。カルシウム添加は加熱時の多糖類やたんぱく質の溶出を低下させ、また、増粘物質の生成反応を阻害すると考えられる。
4.
浸漬工程で浸漬液に0.75%程度の塩化カルシウム溶液を使用することにより、富山県産ダイズを用いて裂皮とヌメリの少ないレトルト煮豆の製造が可能となる。

成果の活用面・留意点 1.
塩化カルシウムの添加は、煮豆のかたさにも影響するので使用時に注意が必要である。
2.
塩化カルシウムの添加量を増やすと裂皮・ヌメリ抑制効果が増すが、苦味を生じる。
3.
食品衛生法により使用基準が定められている(カルシウムとして1%以下)。
4.
製品に応用する際は、調味液組成、殺菌条件、流通形態などを考慮した処理条件の修正を要する。
5.
エンレイ以外のダイズでも種皮の脆弱なものであれば同様の効果がある。
カテゴリ 大豆

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