オオムギの渦性はブラシノステロイド受容体遺伝子変異に起因する

タイトル オオムギの渦性はブラシノステロイド受容体遺伝子変異に起因する
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 作物研究所
研究課題名
研究期間 1999~2003
研究担当者 蝶野真喜子
本多一郎
渡邊好昭
発行年度 2003
要約 uzu遺伝子を持つ半矮性オオムギは、ブラシノライド(BL)感受性が低下し、ブラシノステロイド(BRs)を多量に蓄積している。uzu遺伝子の多面発現により生じる形態的変化「渦性」は、BR受容体遺伝子上の1塩基置換による1アミノ酸変異に起因する。
キーワード オオムギ、渦性、uzu遺伝子、半矮性、ブラシノステロイド、遺伝子変異
背景・ねらい 禾穀類の半矮性は耐倒伏性を向上させ収量増加に貢献する農業上重要な形質である。オオムギでは、uzu遺伝子が半矮性遺伝子として広く認識され、日本においては多くのオオムギ品種に導入されているが、その遺伝子本体は明らかにされていない。一方、植物ホルモンであるBRsに関連する変異体は矮性を示すことが知られているが、既報のBR欠損やBR非感受性変異体の多くは双子葉植物であり、単子葉植物、特に麦類におけるBR関連変異体の報告は皆無である。そこで、渦性系統を含むオオムギ半矮性系統におけるBR関連変異体の検索、内生BR量の分析、BRsに特異的な生理現象の追究を行うと共に、その原因遺伝子の同定を行った。
成果の内容・特徴
  1. 二条オオムギ「Bowman」の56の半矮性準同質遺伝子系統中、uzu遺伝子を持つ2系統のみが活性型BRであるBLに反応せず葉身を展開しない。また、uzu遺伝子に関する同質遺伝子系統では、正常型である並性系統はBLに反応するが、uzu遺伝子を持つ渦性系統はBLに反応しない(図1A)。さらに、渦性系統の根の伸長生長はBLにより阻害されない(図1B)。
  2. 並性系統と比較して、渦性系統は多量の内生BRsを蓄積している(図2)。
  3. 渦性系統が示すBL感受性の低下(図1)や内生BRsの蓄積(図2)は、BR受容体遺伝子に変異を有するイネd61等のBR非感受性変異体に認められる特徴である。ゲノムシンテニーにおいて、uzu遺伝子座はイネd61遺伝子座に極めて良く対応する。このことは、渦性系統がBR受容体遺伝子に変異を有する可能性を強く示唆している。
  4. 渦性品種「カシマムギ」のBR受容体遺伝子の塩基配列には、並性品種「ミサトゴールデン」のものと比較して1塩基の置換が認められ、この置換によりBR受容体のタンパク質リン酸化酵素ドメインにおいて高度に保存されるヒスチジンがアルギニンに変異する(図3)。同様の1塩基置換による1アミノ酸変異は、uzu遺伝子に関する「赤神力」の同質遺伝子系統(赤神力・渦性系統と赤神力・並性系統)においても確認される(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. オオムギのuzu遺伝子は、農業上の有用性が明らかにされた初めてのBR関連変異である。
  2. BR受容体遺伝子の塩基配列の違いを利用してuzu遺伝子の有無を判別することが可能となり、uzu遺伝子をヘテロに持つ個体の判別や、渦性と類似した形質を示す系統と渦性系統との分類が容易になる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010007726
カテゴリ 大麦 品種

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