タイトル | 県内向け青果用かんしょの優良品種「クイックスイート」 |
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担当機関 | 静岡農試 |
研究課題名 | |
研究期間 | 1999~2002 |
研究担当者 |
大石達明 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 糊化温度が50℃程度であり、迅速調理が可能な「クイックスイート」は収量、外観品質及び食味が優れるため、県内向け新しい機能を有した青果用の優良品種として特産化する。 |
キーワード | かんしょ、青果用、高品質、良食味 |
背景・ねらい | 静岡県で栽培されている青果用かんしょは「紅高系」、「ベニアズマ」が主体で、これらはいずれも蒸しいもの肉質が粉質の品種である。本年度品種登録された「クイックスイート」は蒸しいもの肉質は粘質であるが、収量性、外観品質に優れ、特に食味は「高系14号」より優る品種である。また、糊化温度が約50℃と従来にない低温糊化澱粉を含み、加熱調理が迅速である(平成13年度総合農業研究成果情報)という特徴を有するため、今後本県の新しい機能を有した優良品種として特産化する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「クイックスイート」のいもの形状は紡錘形で揃いが良く、大きさはやや大である。皮色は赤紫で条溝、裂開はなく外観が良い。生肉色は白黄である。病害虫抵抗性は「つる割病」にやや強、「立枯病」に中、「ネコブセンチュウ」にやや強である(表1)。 2. 育苗時の萌芽性はやや劣る(表1)。 3. 蒸しいもの肉色は白黄色、肉質は粘質で繊維がやや感じられる。食味は「高系14号」より優り、「ベニアズマ」並である(表1)。 4. マルチ普通掘栽培における上いも重は、「高系14号」や「ベニアズマ」より優り、株当たりいも個数が多いが、上いも1個重は「高系14号」並である(表2)。 5. 土質を異にする現地(小笠郡浜岡町・砂質土、三島市佐野・箱根黒ボク土)においても、「クイックスイート」の収量は「高系14号」や「ベニアズマ」より優り(図1)、土質に左右されず多収である。 6. いもに含まれる澱粉の糊化温度は、通常のサツマイモのそれより約20℃低く、加熱調理が迅速である(平成13年度総合農業研究成果情報)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 普及予定地域は三島市周辺かんしょ栽培地帯地域の約40haである。 2. 「クイックスイート」は蒸しいもの肉質が粘質であるが、食味の良さと迅速調理性をもって、従来の粉質が好まれてきた地域に対してその特性を紹介していくことが必要である。 3. 萌芽性がやや不良であるため、いもの保存方法について検討する必要がある。 4. 早掘り栽培においては、貯蔵性の面から収穫時に糊化温度(50℃)付近の高温に当てないよう注意する必要がある。 |
URL | http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010007251 |
カテゴリ | 育苗 かんしょ 害虫 立枯病 抵抗性 品種 良食味 |
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