養分競合がもたらす非病原性および病原性フザリウム菌の密度変動

タイトル 養分競合がもたらす非病原性および病原性フザリウム菌の密度変動
担当機関 (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2001~2005
研究担当者 竹原利明
中山尊登
仲川晃生
発行年度 2001
要約 非病原性フザリウム菌を土壌に前処理すると後に接種したホウレンソウ萎凋病菌の増殖は抑制されるが、グルコース等の養分供給により病原菌の密度増加が始まる。このことから、非病原菌による発病抑制には病原菌との養分競合が関与することが示唆される。
背景・ねらい 非病原性フザリウム菌の前処理によりフザリウム病の発病が抑制されることが知られているが、発病抑制機構については、抵抗性誘導、競合など諸説があり、いまだ解明に至っていない。そこで、ホウレンソウ萎凋病菌について、土壌中での病原菌と非病原性フザリウム菌の密度推移を調査し、発病抑制に関与する両者間の養分競合の実態を調べる。
成果の内容・特徴 1.
非病原性フザリウム菌(野生菌株)を殺菌土に高密度(10,000 cfu/g乾土)で土壌処理し、7日後にホウレンソウ萎凋病菌(硝酸塩利用能欠損変異菌株、以下nit変異菌株)を接種後直ちにホウレンソウを播種すると、接種した病原菌が低密度(100cfu/g乾土)の場合には高密度に達するまでの間発病が抑制されるが(図1-A)、高密度接種(10,000cfu/g乾土)の場合には発病抑制は見られない(図1-B)。このことから、非病原性フザリウム菌による病原菌増殖抑制が発病抑制に関与すると考えられる。
2.
非病原性フザリウム菌をフラスコ中の滅菌土に高密度(10,000 cfu/g乾土)に処理し、8日後にホウレンソウ萎凋病菌を低密度(100 cfu/g乾土)または高密度(10,000cfu/g乾土)に接種すると、ショ糖、グルコース等の養分が追加供給されるまでは病原菌の増殖はほぼ完全に抑制される(図2および図3)。
3.
病原菌の増殖が抑制された条件下で培地成分(ショ糖10 mg/g土壌、アスパラギン0.6 mg/g土壌など)、または、グルコース(1mg/g土壌)およびアスパラギン(0.2mg/g土壌)を土壌に添加した場合、病原菌が増殖を始める(図2および図3)。
4.
以上のことから、非病原性フザリウム菌によるホウレンソウ萎凋病の発病抑制には養分競合が深く関わることが示唆され、本菌を用いた生物的防除において栽培後期に発病が高まる一因として、根から滲出する微量の糖類やアミノ酸などの養分により根圏での病原菌密度が次第に上昇することが考えられる。
成果の活用面・留意点 1.
非病原性フザリウム菌による生物防除機作解明の一助とする。
2.
ホウレンソウ根から実際に滲出する養分については明らかになっていない。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010007049
カテゴリ 生物的防除 抵抗性 土壌処理 播種 ほうれんそう 防除

この記事は