タイトル |
オカラの腐敗防止技術と生分解性包装補助材への利用技術 |
担当機関 |
富山県食品研究所 |
研究課題名 |
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研究期間 |
1997~2001 |
研究担当者 |
中川義久
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発行年度 |
2001 |
要約 |
産出直後のオカラの温度を制御することにより優先的に生育する高温乳酸菌を利用し、オカラの腐敗と悪臭発生を抑制できる。また、そのオカラにセメントを配合することにより組織化を行い、生分解性包装補助材を開発した。
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背景・ねらい |
現在、豆腐製造工程で副生的に発生するオカラは、その処理が重大な問題となっている。そこで、微生物を利用することにより、オカラの腐敗及びそれに伴う悪臭の発生を抑制する技術を確立するとともに、自然環境下で分解可能な包装補助材(発砲スチロールのようなクッション材など)としての用途を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- オカラの腐敗防止技術
オカラを3倍量の水に浸漬し50℃に6時間保ち、その後搾汁する(以下「処理」)ことにより、オカラ産出時の温度と高温乳酸菌の生育を利用して、pHを急激に低下させることで腐敗を抑制することができた(図1)。この処理を行ったオカラはpHが大豆タンパクの等電点近くにあるため、通常のオカラに比べ初期水分が低い(73~75%)。 - オカラの腐敗防止の実用化
製造現場での作業工程を想定した連続処理試験では、30日間腐敗臭の発生が認めらない(図2)。 - 生分解性包装補助材としての利用
処理オカラにリグニンやステアリン酸を配合した市販セメントを配合し乾燥(シート状に整形し80℃20時間)することで、強度を有する組織物ができる。この耐水性はダンボールと同程度である(表)。この素材にアルギン酸を配合することにより滑面が得られ、デンプンを配合し加熱膨化処理(穀類膨張機使用)することにより多孔質構造となり、弾力性を付与することができる。破砕米をデンプン素材としても良好な結果が得られた。 以上の方法でオカラから作成した生分解性包装補助材に実用化に必用な適性(弾力、滑らかさ)を付与することが可能であり、様々な用途に対応できることが明らかになった。
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成果の活用面・留意点 |
- この技術は、豆腐製造業事業所でオカラが産出された直後から包装補助材としての利用までの一連のシステムを想定しているため、各業者間、地域での連携が必要である。
- 包装補助材は、利用方法により特性が異なるので、必要に応じて製造条件、配合物の対応が必要である。
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カテゴリ |
乾燥
大豆
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