タイトル |
肥効調節型肥料を用いたイチゴの高設ベッド栽培 |
担当機関 |
栃木県農業試験場 |
研究課題名 |
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研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
高設ベッド栽培(栃木方式)において肥効調節型肥料(140日タイプ)、熔りんを株直下に局所施用して潅水のみの管理をすることで培養液管理したものと同等の収量、果実品質を得ることが可能である。施肥量は窒素2.0g/株が適当である。
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背景・ねらい |
イチゴ高設ベッド栽培は、給液装置や養液タンクなどの初期の施設建設コストが高負担と なるため、普及が妨げられている。そこで高設ベッド栽培の低コスト化および施肥管理の 省力化を図るため、培養液の代わりに肥効調節型肥料と熔りんを用いて栽培する方法を検 討した。
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成果の内容・特徴 |
- 栃木県方式の閉鎖型養液管理システムを用い、肥効調節型肥料140日タイプ(N:P2O5:
K2O:MgO = 11:13:11:2 %)を1株あたり窒素2.0g相当量、および熔りん5gを定 植時に株直下に局所施用する。収穫終了までドリップチューブによる潅水のみで管理し、 ベッド下の貯留液の深さが5cm以下となるように潅水量を調整する(図1)。
- 肥効調節型肥料を窒素2.0g/株施用したものは、培養液管理と比較すると、生育が初期
において葉柄長が長く旺盛であり、1月までの可販果収量も、培養液管理よりも多い。し かし、1次腋花房の開花、収穫期が培養液管理よりも10日程度遅くなる。また、一果重 は肥効調節型肥料を施用したものが全般的に重いが、頂花房の果実で乱形果が多い傾向で ある。これは、肥効調節型肥料の初期溶出速度が速く、ベッド内培地養液のECが上昇し たために起きたと考える(図2)。収穫全期間の可販果収量は、肥効調節型肥料を窒素2.0g/ 株施用したもので721kg/aであり、収量性、品質(糖度)ともに培養液管理区と同等で ある(表1)。
- 肥効調節型肥料を施用したものは窒素利用率が高く、培養液管理したものより40%程
度の減肥が可能である(図3)。
- 本法の給液装置は、簡易なタイマー制御機能だけがついた潅水装置であれば十分であり、
肥料代も養液栽培専用肥料よりも安価である。このため、より低コストで高設ベッド栽培 を導入することが可能である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 単一の肥効調節型肥料では、初期溶出の速さからベッド内培地養液のECが高くなるこ
とがある。このため、植物体養分吸収パターンに適合した養分溶出にするため、異なる溶 出パターンの肥効調節型肥料の配合を検討する必要がある。
- 本法で連作をした場合の影響を検討する必要がある。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010006696 |
カテゴリ |
いちご
管理システム
コスト
省力化
施肥
低コスト
養液栽培
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