排出液を出さないイチゴの高設式養液栽培システム

タイトル 排出液を出さないイチゴの高設式養液栽培システム
担当機関 栃木県農業試験場栃木分場
研究課題名
研究期間 1998~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 培地から浸透した余剰液を外部シートに貯留し、培地底部から下垂させた吸水シートで毛管現象により再利用する閉鎖型の高設式養液栽培システムを開発した。排出液を出さずに栽培が可能で、生産性が高く果実品質も土耕栽培と同様に優れる。
背景・ねらい イチゴ生産における作業環境を改善するため、各地で高設栽培への取り組みが行われている。本県では既にロックウールを培地としたかけ流し式の養液栽培が導入されているが、環境保全の側面から廃棄が容易な培地の利用や排出液を出さない閉鎖型の栽培システムが望まれている。このような状況から、杉皮を主とするクリプトモスを培地に利用した、非循環式による閉鎖型養液管理システムを開発する。
成果の内容・特徴
  1. システムは、内側に防根及び吸水シート、外側に防水シートを用いた二層構造で、内側にクリプトモスとパーライトとの混合培地(容積比7:3)を充填する。培養液は、培地上に配したドリップチューブにより給液し、培養液が培地全体に浸透するようにチューブ下に吸水シートを敷く。培地から浸透した余剰液を外側の防水シートに貯留し、これを培地底部から下垂させた吸水シートの毛管現象により再利用を図る(図1)。栽培ベッド幅は30cmで、これに2条植えとする1連ベンチを基本とし(a当たり栽植株数約700株)、栽植株数を多くしたい場合は横方向に連結した2連ベンチ4条植え(栽植株数約970株)とする。
  2. 同一培地を用いたかけ流し式のシステムと比較して、給液量は70%程度で同様の生育が得られ、9月の定植後から収穫終了時の4月までシステム外部に排出液を全く出さずに栽培が可能である。
  3. 培養液は大塚A処方を用い、定植後からEC0.8dS/m程度、開花始期以降1.1~1.3dS/m程度で管理する。培地内の溶液濃度が概ね1.5dS/mを越えないように、給液濃度を調節する。
  4. 給液は、1株当たり1回につき20~30ccとして1日数回行う。給液量は、貯留水位が二層空間の中ほど(3~5cm程度の水位)を目安に、給液回数で調節する。
  5. 収量は慣行の土耕栽培並びにかけ流し式システムより多収であり、果実品質も土耕栽培と同程度に優れる(表1)。
  6. システムの経費は、1連ベンチが約183万円、2連ベンチが約257万円と試算される(表2)。これに給液装置を加えたものが導入経費となり、必要に応じて培地加温装置、施工費などが加算される。
成果の活用面・留意点
  1. とちおとめでの栽植様式は、1ベッド2条植えで、株間は20~25cmとする。
  2. 培地は、5年程度連用できる。
  3. 当システムについて、現在特許出願中である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010006345
カテゴリ いちご 管理システム くり 栽培技術 養液栽培

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