性フェロモン剤を利用したもも害虫の減農薬防除モデル

タイトル 性フェロモン剤を利用したもも害虫の減農薬防除モデル
担当機関 山梨県果樹試験場
研究課題名
研究期間 1998~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 ももの鱗翅目害虫4種に対する性フェロモン剤(もも用複合交信撹乱剤)の実用性が確認された。本剤の利用により殺虫剤の散布回数は、慣行の6~8回から4回程度に削減でき、散布時期は4月中旬、5月上中旬、6月中下旬、7月下旬が有効である。
背景・ねらい もも果実を安定的に生産する上で、化学農薬は現在欠くことのできない防除資材である。しかし、殺虫剤に過度に依存した現状の防除体系では、環境への影響、害虫の薬剤抵抗性の発達や天敵の減少などいくつかの問題点が指摘されている。これらの課題を解決する一つの手段として、ももの鱗翅目害虫4種に対する性フェロモン剤の実用性を検討し、減農薬防除モデルを作成する。
成果の内容・特徴 1993~98年に4ha規模の現地実用化試験を実施した。
  1. 性フェロモン剤を10a当たり180本処理した結果、対象害虫(ナシヒメシンクイ、モモシンクイガ、モモハモグリガ、ハマキムシ類)への交信撹乱効果は高かった(表1)。
  2. 性フェロモン剤のナシヒメシンクイ(新梢被害)に対する防除効果は極めて高く、試験年次をとわず安定的な被害防止効果が認められた。モモハモグリガに対しては少発生条件下では、防除効果が認められた(図表省略)。
  3. 性フェロモン剤の処理により、殺虫剤の散布回数を慣行防除の半分に削減しても、シンクイムシ類とハマキムシ類による果実への被害は少なかった(表2)。しかし、98年はハマキムシ類の防除時期が遅れたため被害果率はやや高かった。また、アブラムシ、カイガラムシ類による被害は認められなかった。
  4. 殺虫剤削減区では、慣行防除区に比較しハダニ類の密度は明らかに低く、平年の発生条件下ではハダニ類の防除を削減することが可能である(表3)。もも圃場では、ハダニ類の天敵として主にカブリダニ類とハダニアザミウマが認められ、殺虫剤の削減はこれらの保護につながるものと考えられる。
  5. 性フェロモン剤に併用する殺虫剤散布のモデル(山梨県)として、4月中旬イミダクロプリド水和剤またはアセタミプリド水溶剤、5月上中旬ブプロフエジン水和剤、6月中下旬クロルピリホス水和剤、7月下旬アクリナトリン水和剤またはフルフェノクスロン乳剤の体系が有効である(表4)。
成果の活用面・留意点
  1. 性フェロモン剤の対象害虫はナシヒメシンクイ、モモシンクイガ、モモハモグリガ、ハマキムシ類の4種で他の害虫には効果がない。
  2. フェロモン剤は、処理面積が広いほど効果は安定するので4ha以上を基準とする。なお、傾斜地等のフェロモンが溜まりにくい圃場への処理に当たっては指導機関に相談する。
  3. 殺虫剤の削減に当たってはマイナー害虫(モモノゴマダラノメイガ等)を含めた害虫類の発生状況に十分注意し、発生が多い場合は薬剤防除を行う。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010006315
カテゴリ 害虫 くり 傾斜地 シカ 性フェロモン 抵抗性 農薬 フェロモン 防除 もも 薬剤

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