早生・多収・穂発芽性難の良質小麦新品種「キヌヒメ」

タイトル 早生・多収・穂発芽性難の良質小麦新品種「キヌヒメ」
担当機関 長野県農事試験場
研究課題名
研究期間 1987~1998
研究担当者
発行年度 1999
要約 この系統は半数体育種法(bulbosum法)により育成された。播性IVであるが「フクホコムギ」と同じ早生種である。穂発芽性難で、倒伏に強くより多収である。粉色はシラネコムギ並みに白く、ゆでうどんの官能評価が高い。
背景・ねらい 小麦の高位安定生産と普及のためには、早生化とより高い越冬性が求められている。また、前作との作業の競合を避け、越冬前の生育量を確保するため、早播きしても年内に幼穂分化しない、播性を持った早熟種の開発が望まれている。また、高品質小麦生産のためには、穂発芽難で多収の品種が求められている。そこで交配母本としてこれらの特性を有する系統・品種を交雑し、さらに早期にこれらの特性を集積した品種を開発するために半数体育種法を併用して、育種目標にかなった系統の選抜を行ってきた。
成果の内容・特徴 「キヌヒメ」は昭和62年度、長野県農事試験場麦類育種指定試験地において東山18号(越冬性高く、多収、良質系統)の早生化、穂発芽性の強化を育種目標として、関東95号/東山18号//ニシカゼコムギ(長交小776)の交配を行い、bulbosum法による半数体育種法により固定し、選抜を図ってきたものである。平成10年度の世代は雑種第1代利用半数体の染色体倍加後11世代(F1DH11)である。
この系統は、次の様な特徴がある。
  1. 長所
    • 播性の程度は“IV"で、出穂期は「フクホコムギ」並の“早生"で「シラネコムギ」より早く、成熟期は「フクホコムギ」並で「シラネコムギ」より4日程度早熟である。
    • 稈の剛柔は“やや剛"とシラネコムギ並で、フクホコムギより倒伏に強い。
    • 収量性はシラネコムギよりわずかに多収である。
    • 粒型および粒大は“中"で、外観品質は「シラネコムギ」・「フクホコムギ」より優れ“中上"である。
    • 耐寒性は“やや強"で「フクホコムギ」より優れる。
    • 耐うどんこ病は“強"で「シラネコムギ」より優れる。
    • 穂発芽性は“難"で「シラネコムギ」・「フクホコムギ」より優る。
    • 製粉歩留・製粉性は「シラネコムギ」並に良好で、粉の色は白く、ゆでうどんの官能評価は「シラネコムギ」と同等かそれ以上優れる。
  2. 欠点
    • 耐雪性は「シラネコムギ」よりやや劣る。
成果の活用面・留意点
  1. 耐雪性が弱いので根雪期間の長い地域を避けること。
  2. 高品質小麦を生産するために、少肥や地力のないところ、水田転換畑ではたん白含有率が低くなる傾向があるので、止葉展開期に追肥を行ない品質向上を図る。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010006257
カテゴリ 育種 うどんこ病 小麦 新品種 水田 耐寒性 品種

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