ブラジルと日本のダイズさび病菌に対するダイズ品種の反応の違い

タイトル ブラジルと日本のダイズさび病菌に対するダイズ品種の反応の違い
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2007~2008
研究担当者 山中直樹
発行年度 2008
要約 ブラジル及び日本のダイズさび病菌に対するダイズの抵抗性反応は、抵抗性遺伝子や品種によって著しく異なる。また、ブラジルの菌に抵抗性の品種は少なく、その抵抗性の程度も低い。ブラジルで育種に利用できる抵抗性遺伝子や品種の数は限定される。
背景・ねらい
 ブラジルをはじめとする南米諸国は大豆の一大生産地であり、9割以上を輸入に頼る日本にとっては南米における大豆の持続的安定生産は極めて重要である。しかし2001年に南米で初めて発生が報告されたダイズさび病は、ブラジルにおいて2006/07作期で約6億ドルの減収をもたらす程に深刻化している。一方、本病害が古くから発生しているアジアではAVRDCを中心とした抵抗性育種により、多数の抵抗性品種が同定・作出されている。既存の抵抗性品種、あるいは既知の抵抗性遺伝子の有効性を確認するためには、ダイズさび病菌の病原性に関する情報が不可欠である。
成果の内容・特徴
  1. 供試した菌系は、複数のダイズの感染葉からの夏胞子を混合して得たバルク菌系で、2007年9月に茨城県つくば市観音台で採取した1菌系、並びにブラジルパラナ州ロンドリーナ市Embrapa大豆研究センター温室で維持しているさび病菌から2008年1月と8月に採取した2菌系である。いずれも感受性大豆品種において、葉を中心とした植物体地上部に褐色の病斑を形成し、淡褐色の夏胞子を噴出、葉の黄変・落葉を早めるといった病徴を示す。
  2. ダイズさび病抵抗性の判定のため、新たに定めた判定基準(表1)は、胞子堆を形成した病斑の頻度、病斑あたりの胞子堆形成数、裂開した胞子堆の頻度、図1に示した胞子形成量の4形質を指標とする。
  3. 既知の5つの主働抵抗性遺伝子を有する品種を含む合計13のアジア原産の大豆品種の抵抗性反応を検定した。日本とブラジルのダイズさび病菌の違いは極めて大きく、Rpp2を持つ1品種及びブラジルではこれまで感受性を示している2品種を除いた10品種が日本の菌系に抵抗性を示すのに対し、ブラジルの2菌系に対しては、それぞれ4品種のみが抵抗性を示す。また、抵抗性を示す品種や抵抗性の程度は、2つのブラジルの菌系間で異なる。

成果の活用面・留意点
  1. 抵抗性品種育成には複数の抵抗性遺伝子を利用する必要があるが、ブラジルで有効な抵抗性遺伝子(品種)は限定される。
  2. 抵抗性の判定基準は63品種という多数の検定結果に基づいたものであるので、品種の抵抗性判定に広く利用出来る。 病斑型の観察は接種5日目に予備調査を行い、最終判定は接種7~8日後に行う。特にPishの感染型は、接種5日まで抵抗性と罹病性反応に違いがなく判定が困難である。
  3. 育種母本として選定した品種・系統の抵抗性は、経時変動や地域変異を考慮し、ブラジル国内のより広い範囲で採集した菌系を用いて再確認する必要がある。 (表2)
カテゴリ 育種 大豆 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 品種

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