タイトル |
複合経営のためのため池の水利用計画ツール |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2006~2010 |
研究担当者 |
Ittiphon Phaowphaisal(コンケン家畜栄養センター)
J.S. Caldwell (緑資源機構)
Nongluck Suphanchaimat (コンケン大学)
Praphasri Chongpraditnun (農業局)
Prasop Verakornphanich (国際農業開発トレーニングセンター)
Somsak Sukchan(国土開発局)
Uchada Sukchan
小田正人
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発行年度 |
2007 |
要約 |
ため池を利用して複合経営を実践するには、数か月先を見越した水利用計画を立てる必要がある。経験のない農家が各自のため池の水量、乾季中の水の蒸発量、経営規模に応じた野菜や家畜の水消費量を簡単に読み取って複合経営が計画できる、円盤状の農家向け水利用計画ツールを作成した。
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背景・ねらい |
東北タイ天水農業地域では、小規模農家の収入増加の一助として、20m×30m程度の自家用ため池を活用した複合経営が目指されている。実際に、国策として多数のため池が造成されているが、大半は養魚池として活用されているのみで、野菜、果樹等への活用が進んでいない。その理由のひとつに、経験のない農家にとって数か月先の収穫を見越した水の利用計画を立てることの難しさがある。そこで、農家向けの水利用計画ツールを作成することで、農家の水利用計画の立案を助け、複合経営の進展を促し、収入の増加を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 複合経営におけるため池の水利用計画を作成できる農家向けのツールである。水利用計画シート(図2)に、水資源量・消費量読み取り円盤(図1)の該当数値を順次記入し、計画の当否を判断する。
- 使用法
[ステップ1] 利用可能水量の計算
- 【資源量】 円盤のおもてを使う。外周でため池の土質(粘土質、砂質)、第2周で深さ、第3・4周で縦・横の長さを合わせる。第5周のため池面積を読み、6周以下で水深に応じた水資源量を読む。
- 【温存量】 円盤のおもてで養魚のために残す水深における水量を読む。
- 【蒸発量】 円盤の裏を使う。青い線を合わせると外周が蒸発量にセットされる。第3周で計画期間の各月に逐次合わせながら第4周以下で面積に応じた蒸発量を読み合計する。
- 利用可能水量=a-b-c
[ステップ2] 水利用計画
- 円盤の裏を使う。緑の線を合わせ、かんがい量にセット。第3周で作物を、第4周以下で栽培面積に応じた消費水量を読む。赤い線を合わせ、家畜飲水量にセット。第3周で利用期間を、第4周以下で家畜種に対応する飲水量を読み各々頭数を乗じて消費水量を算出する。各消費水量を合計する。
[ステップ3] 計画のチェック
- 余剰水量=d-e
マイナスならステップ2に戻って水利用計画を立て直す。
- 農家モニタによる評価結果は、分かりやすさについて「良(40%)」、「中(60%)」と、農家にも十分理解可能であり、実用性については、「良(84%)」、「中(16%)」と良好な評価を得ている(表1)。
- ため池の形状はタイ国土開発局の基準(粘土質、砂質の2タイプで法面の傾斜が異なる)に則り、蒸発量はコンケン県の観測所データ、各作物(カスタードアップル、マンゴ、アスパラガス、水稲苗代、トウモロコシ、トマト、チリトウガラシ、ナス、コリアンダー、エシャロット、ササゲ、ダイコン、ケール、カリフラワー、キュウリ、空芯菜)の灌漑量はFAOの灌漑量算定手法、肉牛の飲水量は現地試験をもとに算出している。
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成果の活用面・留意点 |
- 東北タイにおけるため池を利用した複合経営の促進に活用できる。
- 漏水は東北タイに多い下層の粘土層に造成するため池では無視できるので見積もられていない。
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