アグロバクテリウム法によるネリカの形質転換

タイトル アグロバクテリウム法によるネリカの形質転換
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2007
研究担当者 神代隆
石崎琢磨
発行年度 2007
要約 アグロバクテリウムの未熟胚への接種、および接種後の選抜条件を至適化することによりネリカ品種の形質転換法を開発した。得られた形質転換体の外来遺伝子の植物染色体への組み込み、発現、後代への伝達および分離を確認した。この手法により、遺伝子組換えによるネリカの品種改良が可能となる。
背景・ねらい
 ネリカ(NERICA=New Rice for Africa)は、WARDA(Africa Rice Center)を中心とするグループにより開発されたアジアイネ(Oryza sativa L.)にアフリカイネ(O. glaberrima Steud.)を交配した種間雑種品種であり、高生産性の新しいイネ品種として大きな期待を集め、一部ではその普及が始まっている。理論上、ネリカにはO. glaberrimaのゲノムが12.5%導入されており、これまでネリカへの遺伝子導入系は確立されていない。本研究では、遺伝子組換え技術により乾燥等のストレスに対する抵抗性をネリカ品種に付与することを目的として、ネリカの形質転換系を開発する。
成果の内容・特徴
  1. アグロバクテリウム法によるネリカの遺伝子導入系を開発した。以下の手法により、陸稲ネリカ18品種のうち14品種において形質転換体を得ることができた。
  2. 方法
  • バイナリーベクターpBIG-ubi::GUS(図1A)を保持するAgrobacterium tumefaciens LBA4404株をネリカ未熟胚に接種し、3日間共存培養した。
  • 共存培養後の未熟胚において、GUS発現を確認した(図1B)。
  • 選択培地[500 mg/l クラフォランおよび20 mg/l ハイグロマイシンを含むN6D培地(Toki, 1997)]上で共存培養後の未熟胚を培養することにより、アグロバクテリウムの除去および形質転換カルスの選抜を行った。形成されたカルスは、再分化培地[250 mg/l クラフォランおよび20 mg/l ハイグロマイシンを含むMS-NK培地(Ishizaki and Kumashiro, 2008)]上で植物体を分化した(図1C)。形質転換効率には品種間差違が認められた(図2)。
  • 再生個体は30 mg/l ハイグロマイシンを含むホルモンフリーのMS培地上で生長した(図1D)。
  1. 形質転換体の解析
  • 再生個体へのハイグロマイシン抵抗性遺伝子およびGUS遺伝子の導入をPCRにより確認した(図1E)。
  • 形質転換体の葉において、GUS活性を確認した(図1F)。
  • 温室内で育成した形質転換体の大部分[86.9% (166/191)]は正常な形態を示し、高い種子稔性を示した(図1G)。
  • 導入遺伝子の後代への伝達および分離をサザンブロットにより確認した(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. ネリカ品種への有用遺伝子導入に活用できる。
  2. 形質転換効率について、品種間差違が存在するが、広く普及が見込まれるNERICA1およびNERICA4は問題なく形質転換可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010004959
カテゴリ 乾燥 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 品種改良 陸稲

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