短い乾期に特有な作物被害と水の葉面噴霧による被害軽減

タイトル 短い乾期に特有な作物被害と水の葉面噴霧による被害軽減
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2000~2003
研究担当者 サムエル M. コントレラス
小沢 聖
深町 浩
発行年度 2004
要約 〔乾期に低下した気孔開度は、乾期が終わって土壌水分が増えても直ぐには回復しない。この不可逆的反応で光合成、吸水が低下し、作物の生育、
背景・ねらい 灌水設備が不用な湿潤地でも、1、2ヶ月の寡雨状態が続くと、その後の降雨で土壌水分が回復しても、一度閉じた気孔は、直ぐには元に戻らない。そのため、光合成、吸水の低下、生育、収量の抑制が起こる。この一連の現象を乾性反応と呼ぶことを提唱する。短い乾期が乾性反応を起こす影響を解明し、灌水に依存しない耕種的な対策技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 乾性反応を発現すると、葉が厚く小さくなり、水を多く保つ。蒸散が大きく減少するので、土壌水分は多く保たれる(表1)。トマトでは、収量が回復するのに降雨開始後通常2ヶ月を要する。乾性反応により、水ストレス環境下でも葉は萎れず、落葉せず作物体は生存できる。乾性反応を起こしやすい定植直後の苗では、極度な場合、葉が萎縮する(図1)。萎縮した葉は元に戻らず、新しい根と葉の発達で正常な生長を再開する。通常これには土壌水分回復後、1ヶ月を要する。
  2. 乾性反応は、高温、強日射、強風による蒸散能増加(図2)、根の伸長低下、機能低下による吸水不足、耕盤、粗土塊、多肥、高土壌塩による土壌の水供給能力不足(表1)など多様な原因で起こる。土壌水分が十分あっても他の要因で乾性反応は発現する(表2、図2)。
  3. 対策として、原因となる環境を改善するほかに、水を夕刻に葉面噴霧して葉を5から10分濡らすと有効な作物がある。葉面噴霧は気孔開度を高め、乾性反応の発現を抑制し、光合成を高め(図2)、収量を回復する(表2)。土壌水分が十分な養液土耕のパパイヤでも乾性反応を発現し、乾期始まり1ヶ月後には葉面噴霧の効果がある(図2)。しかし、乾期始まり2ヶ月後には乾性反応から回復しているので、葉面噴霧の効果はなくなる。
  4. 葉面噴霧は、トマト、パパイヤ、サツマイモで有効で、メロン、キャベツでは逆効果である。葉面噴霧が有効な作物と環境は、葉面噴霧した苗の根の伸長で判断できる(図3)。
  5. 葉面噴霧は、乾性反応が発現する前から処理すると効果が大きく、発現後の処理では効果は小さい。トマト、サツマイモでは葉の表面への、パパイヤでは葉の裏への葉面噴霧が有効である。多量の水を葉面噴霧すると、リーチングを起こして悪影響が生じ、葉全体が濡れる程度の僅かな量の葉面噴霧で効果が大きい。
成果の活用面・留意点
  1. 葉面噴霧を長時間継続すると逆効果になる。トマトでは、1日数時間の葉の濡れが10日ほど続くと、根の伸長が抑制される。また、数日間続けて葉が濡れると、病害が多発する。
  2. 葉面噴霧を開始して10日から30日ほどで、夕刻に葉が僅かに萎れるようになる。これが乾生反応を回避したことを示す現象で、葉面噴霧を減らしたり、止めたりする指標になる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010004900
カテゴリ キャベツ 栽培技術 トマト パパイヤ メロン

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