一穂穎花数を増加させても登熟歩合を低下させない水稲の遺伝子座

タイトル 一穂穎花数を増加させても登熟歩合を低下させない水稲の遺伝子座
担当機関 北陸農業試験場
研究課題名
研究期間 1998~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 日印交配による交雑集団を用いた水稲の穎花数に関するQTL(量的形質遺伝子座)解析を行い、第1染色体上及び第6染色体上に、一穂穎花数を増加させるインド型品種由来のQTLを検出した。特に第6染色体上のQTLは一次枝梗数を増加させ、穎花数の増加による登熟歩合の低下が生じない。
背景・ねらい 水稲の収量性は単位面積当たりの穎花数と登熟歩合の積に比例するため、収量性の向上には両方の形質の増強が必要である。しかし、この二つの形質間には一般に負の相関関係が認められることが多く、多収を図る上での大きな課題となっている。そこで、QTL(量的形質遺伝子座)解析により両形質に関与する遺伝子座を明らかにし、穎花数を増加させても登熟歩合の低下を生じさせない遺伝子座が存在するか検討する。
成果の内容・特徴
  1. 日印交配により育成されたハバタキ(インド型)/3*ササニシキ(日本型)の戻し交雑自殖系統群(BILs)を用いて、1998年及び1999年に穎花数及び登熟歩合に関するQTL解析を行った。第1染色体上及び第6染色体上に、一穂穎花数に関連するQTLが確認される(図1)。
  2. 第1染色体上のQTLは、インド型の遺伝子型で一穂穎花数を大きく増加させる(一例として1999年では40%増、寄与率35%)が、逆に登熟歩合を相殺的に低下させる(同23%減)(図2)。
  3. 一方、第6染色体上のQTLもインド型の遺伝子型で一穂穎花数を増加させる(同28%増、寄与率19%)が、登熟歩合の低下はほとんど認められない(同2%減以下)(図2)。
  4. 一穂穎花数に対する第1染色体上のQTLの効果は主に二次枝梗数の増加に由来しているのに対し、第6染色体上のQTLの効果は主に一次枝梗数の増加に由来する(図2)。さらに、第6染色体上のQTLの座乗する領域が乾物生産量を増加させる傾向も認められる(図2)。したがって、第6染色体上のQTLがインド型に由来する場合、登熟能力が高いとされる一次枝梗着生穎花数が増加することに加え、乾物生産量が増加するため、穎花数が増加しても登熟歩合の低下が生じないものと推察される。
成果の活用面・留意点
  1. 第6染色体上のQTLは、日本型品種の収量性向上への利用が期待できる。
  2. 密陽23号(インド型)/アキヒカリ(日本型)の雑種固定系統群を用いた解析でも、第1および第6染色体上に同様の作用を示すQTLが確認されている。ただし、第6染色体上のQTLの座乗位置が二つの系統群で若干ずれており、同一のものかどうか現在調査中である。
  3. 本成果は、単位面積当たりに換算すると約2~5.5万粒/㎡の穎花数レベルで得られた結果である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010004721
カテゴリ 水稲 品種

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