タイトル |
大規模稲作経営における水稲直播栽培の導入効果 |
担当機関 |
新潟県農業試験場 |
研究課題名 |
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研究期間 |
1996~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
移植栽培による規模拡大の限界にある大規模稲作経営は、水稲直播栽培を導入することによって、その限界を打破し、新たな規模拡大による農業所得の向上を図ることができる。
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背景・ねらい |
水稲直播栽培は、省力・低コスト技術として注目されている。特に、大規模稲作経営においては、現行の移植栽培体系のもとでは春作業の労働競合が厳しく、規模拡大の制約となっており、直播栽培の導入が求められている。本情報では、水稲移植体系の規模限界を明らかにするとともに、水稲直播栽培の導入による規模拡大効果及び所得増大効果を提示する。
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成果の内容・特徴 |
- 1 水稲直播栽培の導入目的は、水稲作付規模によって異なる。兼業農家が多い5ha未満層は、農業への労力及び資本投下を最小限に抑え、稲作生産を維持するための手段としている。また、5~10ha層は育苗受託の拡大対応や複合部門との作業競合回避を目的に直播を導入している。そして、10ha以上層は移植栽培体系による規模拡大の限界を打破し、所得増大をめざしている(表1)。
- 2 規模別に直播の導入条件をみた場合、10ha以上の大規模層で全体の80%が移植栽培よりも30~60kg/10a減収しても導入し、また生産コストも60%が移植並のコストでも導入が可能としており、最も強く直播の導入を求めている(表1)。
- 3 家族経営による大規模稲作経営を事例とした移植栽培体系の規模限界は、基幹男子2人(ただし、田植え及び刈取りオペレーター1人)、基幹女子1人、田植え作業の臨時雇用制約なしの場合、21.6ha(うち、水稲作付面積17.2ha(新潟37号4.3ha、五百万石5.6ha、コシヒカリ7.3ha)、転作面積4.3ha)となる(図1)。
- 4 同様の条件において水稲直播栽培を導入した場合、規模限界は経営面積27ha(移植栽培体系の規模限界の20%増)まで拡大できる(図1)。そのときの水稲作付面積は21.5ha(新潟37号5.4ha、五百万石2.1ha、コシヒカリ7.1ha、新潟30号6.9ha)、転作面積は5.4haとなる。また、所得は規模拡大に伴い増大する(移植栽培体系の規模限界の139万円増)。
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成果の活用面・留意点 |
- 1 直播栽培は、移植栽培に比べ収量が低く(10a当たり510kg)、品種(中生品種の新潟30号)が限定され、収益性が低下する。このため現在の技術水準を前提とした場合、直播栽培の導入は移植栽培の規模限界にある大規模稲作経営に限定される。
- 2 大規模稲作経営における直播栽培の導入は、直播栽培だけが行われるのではなく、移植栽培との組み合わせによる補完的なものとする。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010004382 |
カテゴリ |
育苗
規模拡大
経営管理
コスト
栽培体系
直播栽培
水稲
低コスト
春作
品種
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