タイトル |
ジャガイモYウイルスえそ系統(PVY-N)のモノクローナル抗体と高感度検出法 |
担当機関 |
道立中央農試 |
研究課題名 |
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研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
堀田治邦
佐々木純
竹内 徹
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発行年度 |
2007 |
要約 |
大腸菌で発現させたPVY-Nの外被タンパク質を抗原として、特異性の高いモノクローナル抗体を作製できる。これらの抗体は各種ELISA法に適用でき、検出感度は高い。簡易なELISA法(3時間半程度で検出)でも精度よく検出できる。
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キーワード |
ばれいしょ、ジャガイモYウイルスえそ系統、モノクローナル抗体、ELISA法、ウイルス診断
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背景・ねらい |
PVY-Nはばれいしょにおいて病徴が不明瞭で病株が除去されにくく、北海道で最も問題となっている。そのため、ELISA法によるウイルス診断は重要で、抗体の特異性が高いほど、優れた検定が実施できる。本成果ではウイルス外被タンパク質(CP)をin vitro で大腸菌に発現させ、これを免疫して特異性の高いモノクローナル抗体を作製し、ELISA法の検出法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 大腸菌発現系でPVY-N-CPを発現させることができる。これを精製して、高純度の抗原タンパク質を作製することができる(図1)。
- PVY-N-CPを免疫して、PVYの両系統に反応するポリクローナル(Poly)抗体(家兎に免疫)を作製できる。また、普通系統(PVY-O)には反応せず、PVY-Nのみに特異性が高いモノクローナル(Mono)抗体はマウスに免疫させて得たハイブリドーマのクローンを選抜し(図2)、マウス腹水上清を採取することで作製できる。
- DAS-ELISA法(二重抗体サンドイッチ法)においてMono抗体のエンザイムコンジュゲートは希釈倍率を10,000倍にしても高感度に検出できる(表1)。比較した市販抗体4種では抗原の1,000倍~100,000倍希釈までの感度で検出できるが、このうち、国内A抗体では健全葉で吸光値が上昇し、精度が劣る。
- Mono抗体はELISA法の直接吸着法(PTA), 三重抗体サンドイッチ法(TAS)にも適用可能であり、抗原も10,000倍~100,000倍希釈まで検出できる(データ省略)。
- Mono抗体を用いたDAS-ELISA法(ここではPoly/Monoの組合せ)で一般圃場から採取したばれいしょサンプルでも陽性株を検出でき、実用性がある。
- 作製したMono抗体は短時間(3時間半程度)で検出結果が判定できる簡易ELISA検出法にも利用でき、PVY-Nの迅速な検出が可能である(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 作製したモノクローナル抗体はばれいしょの育種や種いも生産に関わるウイルス検定を実施している機関およびウイルス診断が実施できる機関(普及センター、団体等)で広く活用できる。抗体は道立中央農業試験場における抗体提供規定に基づき、配布可能である。
- モノクローナル抗体はロットによる品質に差が生じない。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「ジャガイモYウイルスに対するモノクローナル抗体の作製と高精度検出法」(指導参考)
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010004116 |
カテゴリ |
育種
ばれいしょ
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