タイトル | ぶどう根頭がんしゅ病の簡易診断法 |
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担当機関 | 北海道病害虫防除所 |
研究課題名 | |
研究期間 | 1999~2002 |
研究担当者 |
三澤 知央 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ぶどう根頭がんしゅ病の北海道内分離菌を広範に検出できるVirD2プライマーを設計した。前培養(増菌培養)とVirD2プライマーを用いたPCR(polymerase chain reaction)法を組み合わせることによって、病原細菌を高感度に検出できる。本法は茎頂培養苗の簡易診断法として利用でき、本法を利用することによって無病の茎頂培養苗が得られる。 |
キーワード | ぶどう、根頭がんしゅ病、Agrobacterium vitis、特異プライマー |
背景・ねらい | 北海道内の醸造用ぶどうの作付け面積は近年増加しており、400ha以上となっている。平成9年頃から根頭がんしゅ病が発生し、栽培上の重大な問題となっている。本病には有効な防除法がなく、無病苗を植え付けることが唯一の対策である。しかし、本病は潜伏感染することが知られており、病徴観察によって感染の有無を判定できない。そこで本病の簡易診断法を確立し、無病苗の作出に利用することを目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 北海道内10市町村の根頭がんしゅ病発病ぶどう樹(醸造用品種)より分離した20菌株の細菌を検定したところ、いずれもAgrobacterium vitis と同定された。 2. 道内分離菌を広範に検出できるVirD2プライマーを設計した。本プライマーは簡易判定植物に病原性を示す全菌株を検出し、既報のプライマーと比較して道内分離菌を最も広範に検出でき、実用上の特異プライマーとして利用できる(表1)。 3. 前培養(検定試料中の病原菌を増殖する)培地としてはYPDB(イーストエキス・ペプトン・デキストロース液体)培地が適する。病原細菌をYPDB培地により6日間前培養し、Bio-Rad社製のインスタジーンマトリックスにより菌体核酸を抽出し、Quiagen社製ホットスタートタックを使用しPCRを行い、BMA社製Nusieve3:1アガロースの3%ゲル電気泳動により、細菌濃度 100~101 個まで検出できる(表2)。 4. 本法は茎頂培養苗を対象に病原細菌を 100~101 個まで検出できる(表3)。このため本法は茎頂培養苗を対象とした簡易診断法として利用できる。 5. 本病発病樹から茎頂培養により無病の苗を作出できる(表4)。 以上のことから、本診断法を利用することによって、無病の茎頂培養苗の選抜が可能であり、無病苗の作出に利用できる(図1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本診断法は醸造用ぶどうに適用する。 2. 本診断法の検定対象は茎頂培養苗であり、ぶどう樹からの病原菌の検出はできない。 3. 本診断法は雑菌混入条件下では利用できない。 4. 茎頂培養した苗が常に無病であるという証明はできていない。そのため茎頂培養苗の利用にあたっては、本診断法を利用し無病の苗を選抜する。 5. VirD2プライマーによって検出されない分離菌のなかにも病原細菌が含まれる可能性はある。 |
URL | http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010003565 |
カテゴリ | 簡易診断 栽培技術 品種 ぶどう 防除 |
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