PCD評価法の開発と花きの老化における新規PCD特性

タイトル PCD評価法の開発と花きの老化における新規PCD特性
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究課題名
研究期間 2006~2006
研究担当者 W.G. van Doorn(ワゲニンゲン大研究所)
山田哲也(東京農工大)
市村一雄
発行年度 2006
要約 花弁から単離した核の蛍光顕微鏡観察によるプログラム細胞死(PCD)評価法を開発し、それに基づき花弁の老化にともなうPCDには核そのものが断片化するタイプと核内でクロマチンが断片化するタイプが存在することを明らかにした。
キーワード プログラム細胞死(PCD)、アサガオ、キンギョソウ、ペチュニア、マーガレット、カーネーション
背景・ねらい  花弁の老化にはPCDが関与していると考えられているため、PCDに関係する指標により花弁の老化程度を客観的に評価できる可能性がある。動物のPCDに共通する特徴は、DNAの分解と核の断片化である。しかし、植物のPCDでは核が実際に断片化されているか不明である。そこで、PCD評価法を開発し、数種花きにおいてPCDの指標が花弁の老化程度の客観的な指標となりうるか検討するとともに、実際に核が断片化しているか明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. アガロースゲル電気泳動によるDNA断片化の解析に加え、単離した核の蛍光顕微鏡下での観察による新規PCD評価法(図1)を開発し、花弁の老化にともなうPCDの特徴を調査した。
  2. 供試した4種類の花きで、花弁の老化過程で最初に起こるのはクロマチンの凝縮である(図2)。クロマチンの凝縮は可視的な老化症状が起こる前に観察される。クロマチンの凝縮とほぼ同時あるいはそれに引き続き、DNAの断片化が起こる(データ略)。したがって、クロマチンの凝縮およびDNAの分解に関わる反応がPCDの初期的段階に関与していることが示唆される。
  3. アサガオ、ペチュニアおよびマーガレットとでは花弁の老化にともない、断片化途上と推定される核が認められ(図3)、完全に老化した花弁ではDNA小塊が観察される(図2)。核DNAと核膜をDAPIとDiOC6でそれぞれ染色することにより、断片化したDNA小塊は膜を含んでいることが見出される(図4)。これらの結果は老化花弁では核が断片化していることを示唆している。
  4. 核DNAと核膜の染色により、キンギョソウとカーネーションの老化した花弁では核内でクロマチンが断片化していることが示唆される(図4)。
  5. 以上から、花弁の老化にともなうPCDにおいて、その初期的反応はクロマチンの凝縮であり、さらに核そのものが断片化するタイプと核内でクロマチンが断片化するタイプが存在することが明らかにされた。したがって、核の観察により、花弁の老化程度を客観的に評価することが可能であることが示唆される。本成果は、植物において核の断片化と核内でのクロマチンの断片化を実証した最初の報告である。
成果の活用面・留意点
  1. 切り花の品質保持技術開発にあたり、花弁細胞の核の崩壊プロセスは老化程度の客観的な指標として利用可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010002955
カテゴリ あさがお カーネーション 評価法 品質保持 ペチュニア マーガレット

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