タイトル | 木材利用によるCO2削減効果の評価モデルの開発と日本への適用 |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究課題名 | |
研究期間 | |
研究担当者 |
恒次 祐子 外崎 真理雄 |
発行年度 | 2006 |
要約 | 木材利用分野によるCO2削減効果を計算するために、炭素吸収量評価モデルを開発しました。このモデルを使うことにより、今後木材利用の増減がどのように影響を与えるかの将来予測ができるようになりました。 |
背景・ねらい | 木材を利用することによって3つの温暖化防止効果があると期待されます。第1は樹木が吸収した二酸化炭素(CO2) をそのまま貯蔵して大気中に戻さない「炭素貯蔵効果」、第2は他材料に比較して材料を作る際のエネルギーが少なく、CO2の排出も少ないという「省エネルギー効果」、そして木材をエネルギー源として利用することにより化石燃料由来のCO2排出を削減できる「化石燃料代替効果」です。今後木材利用分野によってどのぐらいのCO2削減効果が見込めるかを予測することは、日本の温暖化防止政策を考える上でも重要です。 本研究では建築物、家具、紙について利用-廃棄モデルを開発し、木材を利用する際のCO2削減量が将来どのようになるかを計算しました。 |
成果の内容・特徴 | モデルの仕組み木材や紙はその重さ(水分を除く)の約半分の炭素を貯蔵しています。本研究で開発したモデルでは、毎年新しく作られる建築物、家具、紙の量と廃棄されるこれらの量を予測し、国内に存在する木材量 (「炭素貯蔵効果」) を推計することができます。また、もし新しく建てられる建築物のうち、木造のものが増えれば「省エネルギー効果」が発生しますので、それも推計できます。そして廃棄される建築物、家具、紙の量からエネルギー利用できる木材量を計算し、「化石燃料代替効果」を推計できるようにしました。計算の国際ルール木材による「炭素貯蔵効果」を計算するための国際的なルールは今のところ3種類提案されています。
木材の積極的な利用を図2はモデルを用いた、木材利用による炭素吸収・排出量です。この計算では、今後建てられる建築物中の木造率や木製家具の生産量、国産材の利用率などは現在のままであると仮定しています。大気フロー法が採択された場合、木材利用は大きなマイナス(排出)と評価されてしまいます。ストックチェンジ法やプロダクション法が採択された場合でも、炭素吸収はほとんど0となることが分かりました。図3は今後つくられる建築物中の木造率や家具製品中の木製率を70%に増加させた際に「炭素貯蔵効果」「省エネルギー効果」「化石燃料代替効果」がどのぐらいになるかを計算した結果です。2020年には、3つの効果を合わせて年間約1200万トンの炭素吸収が見込まれます。日本の森林による吸収量が1300万トンであることを考慮するとかなりの効果です。CO2削減には木材の積極的な利用が大切であることを明らかにしました。 詳しくは:外崎真理雄他(2005)日本エネルギー学会誌 84:973-979 をご覧下さい。 |
URL | http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010002827 |
カテゴリ | 省エネ・低コスト化 ストック 輸出 |
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