タイトル | カンボジア国森林流域における水・森林環境データセットの作成 |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究課題名 | |
研究期間 | |
研究担当者 |
清水 晃 荒木 誠 伊藤 江利子 沢田 治雄 |
発行年度 | 2006 |
要約 | カンボジア国はこれまで森林研究が遅れ、観測データの無い地域でした。そこで、将来の適正な水資源・森林資源管理などに役立てるため、詳細な地上調査と人工衛星データを統合して、水環境・森林環境データセットを作成し公開しました。 |
背景・ねらい | メコン川はチベット高原に源を発して中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを流れる国際河川です。メコン川流域のなかでも、カンボジア国では長引く紛争もあって森林研究が遅れ、森林環境、水環境の観測はまったく行われていませんでした。このように観測データが無い地域では、現地住民の生活向上を目指した適正な水資源管理や森林資源管理のためにできるだけ早く科学的観測を始める必要があります。また、このような観測は地球規模での環境問題・気候変動など広域での予測や問題解決にも有効な情報となります。わが国はアジアモンスーン地域の一員として深いつながりのあるこの地域の観測体制確立に貢献する必要があります |
成果の内容・特徴 | 対象流域と観測システム私たちは、図1のような観測システムに基づいて地上調査から人工衛星画像までさまざまな規模で水環境・森林環境の観測を行い、その実態解明を図りました。地上調査ではカンボジア国中央部にメコン川支流のチニット川森林流域試験地(約3600km2)を設定して研究を推進しました。流域の植生は常緑広葉樹林を中心としていますが、落葉樹林やその他の森林植生も含まれており、多様な土地利用形態があります。この流域の中で雨や河川水などを測るとともに、60mの気象観測タワーを作って森林からの蒸発量を測定しました(写真1)。さらに、土の中の水の量や地下水の変化などについても観測を行いました。水循環研究結果地上調査と既存の植生図および衛星画像によって現地の森林を区分し、どのような林に覆われているかを正確に知ることができました。これは、森林管理の貴重な基盤情報となりました。さらに、流域の大部分を占める常緑林について水循環特性を解析しました。同時に土の水分量や地下水の変化および樹木の葉の量の変化など多くの要因についても把握することができました。このように本地域ではまったく初めて雨から河川水までの多くの水循環過程を総合的に解明することができました。水環境・森林環境データセット詳細な観測やデータに基づく精緻なモデルを使用してチニット川流域を対象に緯度経度各0.1度(約10kmx10km)グリッド毎の水環境・森林環境データセットを作成することができました。その内容は次のとおりです。
本研究は文部科学省受託費「人・自然・地球共生プロジェクト:アジアモンスーン地域における人工・自然改変に伴う水資源変化予測モデルの開発」および農林水産省受託費「地球規模水循環変動が食料生産に及ぼす影響の評価と対策シナリオの策定」による成果です。 詳しくは「Forest Environments in the Mekong River Basin (Springer:2007)」をご覧ください。 |
カテゴリ | 環境データ |