気象災害リスクの分析と最適輪伐期に及ぼす影響に関する研究

タイトル 気象災害リスクの分析と最適輪伐期に及ぼす影響に関する研究
担当機関 森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 久保山 裕史
発行年度 1997
背景・ねらい 現在わが国の民有人工林は、伐採が手控えられる傾向にあり、齢級構成の中心は幼齢から壮齢へと移動してきている。一方で、気象災害や火災、病虫害などの様々なリスクにさらされており、伐期を延長した場合、収穫可能となっていた林分が被災して、価値が大きく減少してしまう可能性がある。これに対して、北米における火災リスク研究では、リスクが存在する場合伐期を短くした方が有利であるという結果が得られている。そこで、スギ人工林経営モデルに雪害リスクを導入し、経済的影響を分析するとともに伐期の問題について検討した。また、主要な気象災害の齢級別発生パターンを統計的に解析した。
成果の内容・特徴 発生頻度が高く主要な森林災害である雪害を、スギ人工林にランダムに発生させるシミュレーションモデルを作成し、四つのシナリオの下で40年から80年までの五つの伐期について計算を行い比較分析を行った。比較に用いた値は、将来発生する施業コストや伐採収入を市場利子率(2.6%)で割り引いて現在の価値として集計した値である、土地期望価(以下LEV)を用いた。被害割合は図1を用い、「間伐型」と「共倒れ+復旧造林型」の二つの被害パターンを想定し、それぞれについて計算した。図2は、補助金を利用するという一般的なシナリオの結果であるが、間伐型被害の場合、最適輪伐期(以下ORA)は無被害の場合より長くした方が有利となっている。一方で、共倒れ被害の場合はLEVの減少が非常に大きく、かつ、ORAはむしろ短伐期有利の方向に動いている。なお表1より、間伐型の場合でも、高齢級の被害率を高くした場合には短伐期が有利となることから、長伐期経営の条件として、1.高齢級林分の被害率が十分小さいこと、2.共倒れしにくいことの二つを挙げることができる。

次に、被害の受け方が林齢によって違うということが、伐期の選択に大きく影響することが明らかになったことから、民有人工林における齢級別被害割合(年平均実損面積割合)を推計した(図3)。その結果を見ると、雪害は図1とほぼ同様で高齢級の被害率が十分低く、凍害と干害も幼齢期の被害率以外は非常に小さいことから、長伐期が有利であると考えられる。一方、風害では高齢級になるほど被災率が高いことから短伐期が有利と予想される。また、この被害割合を用いて、造林した人工林が50年生になるまでに被害にあう確率を算出すると11.7%となる。また、現在わが国で最も多い30年生の人工林は、今後30年間伐採しなかった場合、気象災害によって、約3.4%減少すると予想される。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010002578
カテゴリ 経営管理 経営モデル コスト 凍害

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