クスアナアキゾウムシの生態とシキミの被害

タイトル クスアナアキゾウムシの生態とシキミの被害
担当機関 森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 井上 大成
発行年度 1995
背景・ねらい シキミの切り枝は西日本を中心に仏事に使われ、特用林産物として近年盛んに栽培されるようになった。しかし栽培面積の拡大に伴って、クスアナアキゾウムシ(写真1)による被害が発生して深刻な問題となってきた。幼虫が根元付近の樹皮下に穿孔し、形成層部分を食害するが(写真2)、樹勢を弱められた樹は開花・結実しやすくなり、商品価値が低下する。また最終的には枯れることも多い。本研究では、四国地方のシキミ栽培地で本種の生態と被害実態を調査した(口絵写真)。
成果の内容・特徴 越冬成虫は晩春~秋までの長期間にわたって産卵したが、山間部では産卵された年内に羽化する個体はほとんどなく、産卵時期が早い場合には老齢幼虫で、遅い場合には若・中齢幼虫で越冬し、翌年の盛夏に羽化脱出した。また平野部では、5月頃の最も早い時期に産卵された場合に限って、幼虫は年内に発育を完了して晩秋に羽化脱出し成虫越冬したが、それ以降に産まれた場合には、中・老齢幼虫で越冬し翌年の夏に羽化脱出した。新成虫は羽化年内にはほとんど産卵せず、主に越冬した翌年以降に産卵した。すなわち本種は山間部では2年1化、平野部では2年1化と年1化が混じった生活環をもつと推定された(図1)。産卵部位や幼虫の寄生部位は主に地表付近の樹幹であったが、幼虫は発育に伴ってより深い部位に移動した。また、特に春にコマユバチ科の幼虫寄生蜂による寄生が多く、重要な天敵になっていると考えられた。184か所のシキミ栽培地を調査した結果、高知81%、愛媛77%、徳島58%、香川14%の栽培地で被害が確認された。被害地の分布密度は四国の西部・南部では濃密だったが、北東部では希薄だった(図2)。被害程度には、栽培年数が長くなるほど、また雑草が繁茂するほど高くなり、薬剤の散布頻度が高くなるほど低くなる傾向が認められた。さらに栽培地周囲に森林がない場合には、森林がある場合に比べて被害が軽かった。このような結果から、本種による被害を軽減するためには、成虫の脱出時期や産卵開始時期を中心に薬剤散布を実施し、雑草をつとめて除去するなど最低限の管理を行う必要があるといえる。成虫の寿命は非常に長く、野外の網室内では最長4回の越冬が確認されている。このため、少なくとも数年間以上は圃場管理を徹底しなければ、防除効果は低いと思われる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010002544
カテゴリ 雑草 圃場管理 防除 薬剤

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