積雪の動的環境と森林群落の分布

タイトル 積雪の動的環境と森林群落の分布
担当機関 森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 小野寺 弘道
梶本 卓也
田邉 裕美
大丸 裕武
発行年度 1995
背景・ねらい 雪は風と地形の影響を強く受けて積るのでその深さは一様とはならず、積もった雪も地形や森林の影響を受けながら移動する。積雪と森林は相互に影響しながら環境を形成しているといえる。本課題は、積雪の動的環境と森林群落の分布との関連を明らかにするため、多雪流域内に分布する樹木の生態的特徴について調べた。
成果の内容・特徴 奥羽山脈中央部に位置する焼石岳南麓の多雪流域内に調査地を設定した。冬期の季節風に対する風背斜面には積雪グライドに起因する雪ジワや雪割れ目が広範囲にみられ、しばしば全層雪崩の発生も観察された(写真1)。他方、風衝斜面には中・大径木の根返りに伴って形成されたピットとマウンドが観察され、斜面形は凹凸が連続する階段状である(写真2)。
風背斜面には、ヒメヤシャブシ、タニウツギ、ブナなどが、風衝斜面には、ブナ、マルバマンサク、ハウチワカエデなどが優占しており、全般に風背斜面の森林群落は低木形態であり、傾幹幅(根元曲がり)が異常に大きい匍匐形を示すのに対し、風衝斜面の森林群落は高木形態であった(図1、2)。傾幹幅には樹種による違いが認められ、優占順位の高い樹種の傾幹幅は、風背斜面では大きく風衝斜面では小さかった(表1、2)。多雪斜面に生育する樹木の個体維持は、風背斜面では主に萌芽・伏条による更新に、風衝斜面では主に実生による更新に依存していることが示唆された。
風背斜面においては積雪移動圧に対し、風衝斜面においては積雪沈降圧に対して適応した樹種が個体維持に有利であり、いずれの斜面にも出現するブナは、積雪移動圧よりも積雪沈降圧が卓越する積雪環境に適応した耐雪性の高い樹種であると考えられた。このような樹木の生態的な特徴の解析から、森林群落の分布に係わる積雪環境要因としては単に積雪深だけではなく、積雪グライドや雪崩などの積雪移動が重要な役割を果たしていることが明らかになり、積雪の環境傾度と多雪流域内に分布する森林群落との関連性を示すモデルを提案した(図3)。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010002541
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