タイトル |
斜面の水環境が林床植生型に与える影響の解明 |
担当機関 |
森林総合研究所 |
研究課題名 |
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研究期間 |
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研究担当者 |
四国支所林地保全研究室 平井敬三森林環境部土壌物理研究室 加藤正樹
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発行年度 |
1992 |
背景・ねらい |
林地斜面において,林床植生は土壌中の水分動態や土壌型など立地環境の特性に応じて特定の種構成をもつ林床植生型を構成している。しかし,斜面の土壌水分やその溶存成分の動態と林床植生の分布,生育特性及び養分吸収特性などとの関係は未解明な点が多い。本研究では常緑広葉樹林斜面において,土壌の水環境が林床植生の分布や養分吸収に与える影響を解明した
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成果の内容・特徴 |
- 林床植生型の区分:高知県春野町のスダジイを優占種する常緑広葉樹二次林斜面において林床植生型の区分を行った。その結果,尾根から下部へと斜面位置と地形の変化に従って植生型が変化して分布することが明らかになった。P1(クロバイ-シャシャンボ型)及びP3(イスセンリョウ-コバノカナワラビ型)では既知の林床植生型に当てはめられたが,P2では適当なものがなく,新たな林床植生型(ヒサカキ-サイコクベニシダ型)を区分した(表)。
- 土壌水分の変動:土壌水分張力を経時的に観測した結果,排水地形で尾根に位置するP1では最も乾燥した状態で推移し,特に無降雨継続時の水分張力の上昇が顕著であった。一方,集本地形のP3では最も湿潤な状態で推移した(図1)。このように地形や斜面の位置によって土壌の水分動態が異なり,これに対応して林床植生型も変化することが明らかになった。
- 主要な林床植物の養分動態:分布域の狭い木本種では,常緑広葉樹(図2A)及び落葉広葉樹(図2B)ともに,各成分とも斜面中部のP3に分布する種で最も含有率が高く,P2,P1と斜面上部に分布する種ほど含有率が低い傾向がみられた。シダ類(図2D)ではP3に分布するコバノカナワラビの窒素とカリウムの含有率が低かった。斜面上に広く分布するツバキ(図2C)ではカルシウムの含有率が,分布域の狭い種同様にP3でP1,2よりも高かった。
以上のように,斜面の一部に限って分布する木本種では,斜面のより下部で水分及び養分条件の良い立地に分布する種ほど養分含有率が高くなることが明らかになった。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010002463 |
カテゴリ |
乾燥
わらび
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