タイトル |
ジャガイモシストセンチュウの増殖を抑制する線虫寄生菌 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究課題名 |
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研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
串田篤彦
植原健人
百田洋二
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発行年度 |
1999 |
要約 |
ジャガイモシストセンチュウの異常シストから分離した糸状菌(菌株名BCF)は、ジャガイモシストセンチュウの雌成虫に寄生し、次世代の卵密度を低下させる。本菌を土壌混和することにより、ジャガイモシストセンチュウの増殖は抑制される。
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背景・ねらい |
ジャガイモシストセンチュウの防除法として、抵抗性品種や殺線虫剤の利用が挙げられるが、線虫剤は高価であるため、利用は広がっていない。そこで、現在の総合防除法をより機能的なものとするため、新たに生物的防除技術の開発を試みる。ジャガイモシストセンチュウに寄生性を示す糸状菌を探索し、得られた菌について効果的な利用方法や増殖法、施用法等を検討し、ジャガイモシストセンチュウの生物的防除技術の確立に資する。
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成果の内容・特徴 |
- ジャガイモシストセンチュウに対して高い寄生性を持つ糸状菌としてBCF菌(未同定、3菌株、BCF1~3)を選抜した。PDA培地で生育させたBCF菌の菌叢上にジャガイモシストセンチュウ雌成虫を置いた生物検定では、2週間で約90%の雌成虫に寄生し、ほとんどの個体で全ての内蔵卵を侵した(25℃条件、図1)。
- 本菌は、PDA培地でよく生育し、赤褐色の菌叢を形成するが、胞子を形成しない。また、LB培地、CMA培地でも優劣なく生育し、それぞれの培地で培養したBCF菌のジャガイモシストセンチュウに対する寄生能も差がない(図2)。PDA培地での生育適温は25℃であり、至適生育pHは5~7であるが、pH4においても高い寄生性を示す。
- 本菌は、ジャガイモシストセンチュウの雌成虫に対して寄生性を示す他、ダイズシストセンチュウの雌成虫にも高い寄生性を示す(図3)。
- ジャガイモシストセンチュウ汚染土壌に本菌のPDA培養菌体を混和し、馬鈴薯(男爵)を栽培した場合、1作後の線虫増殖率は、対照区が5~7倍だったのに対し、BCF菌接種区では、1ポット当たり1プレート以上接種では1未満となり、収穫時密度は初期密度より低下した(図4)。
- 本菌は、小麦ふすまや米ぬか、大麦穀粒を培養基とした培地でもよく生育し、容易に大量増殖が可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- 本研究で得られた寄生菌は、ジャガイモシストセンチュウの生物防除への利用が期待できる。また、ダイズシストセンチュウ防除への応用も期待できる。
- 本菌の分類について検討する必要がある。
- 圃場での効果について調査する必要がある。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010002300 |
カテゴリ |
生物的防除
大豆
抵抗性品種
ばれいしょ
防除
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