タイトル |
ねぎの根腐萎ちょう病菌に対する還元殺菌法 |
担当機関 |
園芸科 |
研究課題名 |
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研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
本病汚染土壌にフスマまたは米糠を1t/10a混和し、100~150㎜の潅水と土壌表面被覆・ハウス密閉により、ほ場容水量以上の水分と平均30℃以上の地温を維持する。これにより土壌の酸化還元電位が低下し、20日間で病原菌(Fusarium oxsporum)が死滅する。北海道の気象条件で7月上旬から9月上旬までの施設栽培で処理可能である。
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背景・ねらい |
ネギ根腐萎ちょう病はFusarium oxsporumによる土壌病害であり、本病にり病したねぎは、外見は根の腐敗脱落にともなう葉先枯れを生じ、収量が半減する。これまで北海道ではこの種の防除はクロルピクリンやダゾメット剤による土壌消毒しか効果的な防除法はなかった。そこで、化学合成薬剤によらない防除方法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 機物の土壌混和と潅水により土壌の気相を減少させ、土壌表面を被覆した上で保温すると、土壌微生物による酸素消費が活発化する結果酸化還元電位が低下し、病原菌が死滅する(図1)。
- 壌の還元化を促進する有機物資材としては、フスマおよび米糠が適当である(表1)。また、還元の促進には含水率を高い(ほ場容水量以上)条件にする。
- 0℃-ほ場場容水量条件で、フスマ・米糠および大豆粕などの炭素含有率40%程度の有機物混和で土壌還元が促進され病原菌が死滅する。鶏糞(ゼオライト入り).牛糞バーク堆肥などすでに動物による消化吸収作用を経た有機物では土壌還元が十分に低下せず、病原菌数が十分に減少しない(表3)。
- 家ハウスにおける実験をとりまとめると、以下の条件で十分な殺菌効果がえられる。1.有機物としてフスマあるいは米糠1t/10aの作土混和、2.混和直後の十分なかん水によるほ場容水量以上の水分確保、3.土壌表面への透明フィルムの密着被覆とハウスの密閉によって地温30℃、20日間の持続。
- 還元殺菌が可能な時期は、1.平均気温18℃以上で日照が4時間/日以上あるいは、2.平均気温20℃以上で日照時間3時間/日以上であれば還元殺菌は可能である(表4)。
- 処理前の土壌に含まれた硝酸態窒素はかん水により溶脱し、アンモニア態窒素は還元化により脱窒する。
- 還元殺菌に用いるフスマあるいは米糠1tに含まれる窒素成分はおよそ30kgであり、この内、処理後に作物が吸収可能な窒素は、5~13kg/10aである。
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成果の活用面・留意点 |
- ウスの最側部などの有機物が十分に混和されない場合や地温上昇が十分に得られない場合は殺菌効果が落ちる。
- 病原菌は有機物が存在する好気的環境では死滅せず逆に増殖するので、本方法に示した4項目(有機物混和、かん水、密着被覆、ハウス密閉)を一両日中に実施すること。
[平成10年度北海道農業試験会議における課題名及び区分] 課題名:ねぎの根腐萎ちょう病に対する還元殺菌法(普及奨励)
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010002164 |
カテゴリ |
くり
シカ
施設栽培
大豆粕
鶏
土壌消毒
ねぎ
防除
薬剤
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