ぐるみ参加型集落営農における合理的な管理運営方策

タイトル ぐるみ参加型集落営農における合理的な管理運営方策
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2008~2008
研究担当者 高橋明広
梅本雅
発行年度 2008
要約 総兼業地域のぐるみ参加型集落営農において合理的な管理運営を実施していくためには、1)作業マニュアルの作成・利用を通じた作業の標準化と効率化、2)圃場別品質管理、3)OJTの仕組みを取り入れた職能別の出役体制や経営管理体制の構築が有効である。
キーワード 集落営農、作業マニュアル、人材育成、原価管理、ナレッジマネジメント
背景・ねらい 水田経営所得安定対策の開始に伴い各地にぐるみ参加型の集落営農が設立されたが、次の課題としてそれら組織では発展に向けた適切な管理運営を行い経営体に移行していくことが今後の課題となる。そこで、総兼業地域において、ナレッジマネジメントを用いた農作業に関わる知識・情報の共有化や原価管理を通じて効率的な管理を実施している滋賀県N営農組合を対象とし、聞き取り調査、作業マニュアル、作業日誌、規約・細則、会計資料等の解析をもとに、ぐるみ参加型集落営農の合理的な管理運営方策を提示する。
成果の内容・特徴
  1. N営農組合は、構成員のほぼ全戸が兼業農家であるが、組織の特質に応じた的確な作業管理、品質管理、労務管理を実施し、稲作労働時間13.4時間/10aと滋賀県平均の51%に削減すると共に、助成金を除いた収益も5.9万円/10aを実現している(表1)。
  2. 作業管理においては、構成員の多くが年間数日しか農作業に出役しないことを前提に、(1)実施すべき基本事項、(2)判りやすい表現を用いた作業ノウハウ、(3)作業や操作を行う理由や手順の図示等を盛り込んだ作業マニュアル(図)を作成し、作業機毎に表示する。また、作業日毎に作業責任者を設け、毎日の作業の進行管理を行うと共に、作業日報の記帳を通じて、翌日以降の作業者への情報の確実な伝達と共有化を図る。
  3. 品質管理においては、圃場毎の特性を熟知した家族経営とは異なり、集落営農では作業者が十分な知識を持たないことから、圃場毎の特性を数値化し、最適な資材投入量を決定する。そのため、圃場単位毎の労働時間、機械稼働時間、資材投入量等のデータをカード等(表2)を用いて収集し、収量・品質も圃場単位で把握する。また、土壌診断結果等を利用し、収集したデータと比較検討を行い、品質向上に向けた取り組みを進める。これらデータは、原価管理を通じた経営改善にも利用できる。
  4. 労務管理においては、オペレータの技能に応じて機械作業を区分し、それら職能別の出役体制を取る。また、作業者が出役日を変更する場合は、職能間での変更のみとする(表3)。これにより、(1)作業の監督・指示が容易になる、(2)未熟練者が作業を覚える→中核オペレータとして作業を担う→組織を担う責任者になるというOJT(オン・ザジョブ・トレーニング)の仕組みを取り入れた人材育成のプロセスが構築できる。
  5. 家族経営と比べて経営管理担当者の早期に交代することが多い集落営農では、経営管理能力の継承方策として、旧役員が退任後2年程度新役員を補佐する併走期間を設けることなどを通じて人材育成を図る。また、経営管理上の問題が発生したその都度、解決方法を規約・細則に追記し、それらを経営管理マニュアル的に利用する。
成果の活用面・留意点
  1. 総兼業地域において構成員の出役日数が限られた集落営農を前提にしている。
  2. 作業マニュアルは,作業者が内容を理解可能か確認し必要に応じて加筆・修正を行う。

URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010001862
カテゴリ 経営管理 作業管理 シカ 人材育成 水田 土壌診断

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