数種のカブリダニは網を介したナミハダニの防衛システムに対抗する手段をもつ

タイトル 数種のカブリダニは網を介したナミハダニの防衛システムに対抗する手段をもつ
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2007~2009
研究担当者 下田武志
発行年度 2008
要約  ナミハダニは、天敵から身を守るための立体網を寄主植物上に形成する。一方、有力天敵であるミヤコカブリダニ・ケナガカブリダニ・チリカブリダニは、糸切り行動によって立体網の中に容易に侵入し、網内で自由に活動することができる。
キーワード ミヤコカブリダニ、ケナガカブリダニ、チリカブリダニ、ナミハダニ、立体網
背景・ねらい  各種農作物の重要害虫であるナミハダニは、大量の糸を吐きながら立体的な網(以下、立体網)を葉上に形成し、天敵から身を守っている。天敵の中には、立体網の表面や内部において頻繁に糸にひっかかり、網への侵入や網内での捕食活動が妨害されるものもあり、極端な場合には死亡することもある。その一方で、ナミハダニの有力天敵である数種類のカブリダニは、立体網の中に容易に侵入し、網内で自由に捕食活動や産卵活動を行うことが知られている。 ナミハダニとカブリダニとの相互作用に関しては、農業害虫に対する生物的防除の視点などから、数十年間にわたり国内外で多種多様な研究が行われ、極めて多くの知見が集積されてきた。それにもかかわらず、有力天敵であるカブリダニがどのような手段を用いて立体網に侵入し、立体網の影響を受けずに活動するのかという根本的な問題については分かっていない。そこで、有力天敵である3種類のカブリダニを対象に、立体網への対抗手段を行動学的視点から調査し、生態解明に資する。
成果の内容・特徴
  1. ミヤコカブリダニの雌成虫は、第1脚付近に位置する一対の触肢を用い、ナミハダニの立体網を構成する糸を鋏角にたぐり寄せる(図1)。次に、一対の鋏角を交互に動かしながら、糸を短時間(通常は1秒以下)で切断する。ケナガカブリダニおよびチリカブリダニの雌成虫も同様の糸切り行動を示す。触肢および鋏角は餌の認識・捕獲器官としてそれぞれ知られているが、糸切り行動のための器官としても機能する。
  2. ミヤコカブリダニの雌成虫は、糸切り行動によって立体網の表面に穴を開け、網内に容易に侵入する(図2)。侵入した個体は、立体網の内部に定着し、捕食活動や産卵活動などを行う。ケナガカブリダニおよびチリカブリダニの雌成虫においても、同様の習性が見られる。
  3. 3種のカブリダニ雌成虫は、立体網の内部を移動する際にも多数の糸を切断する(図3)。網内での頻繁な糸切り行動は、糸の影響を受けることなく網内を移動し、捕食活動や産卵活動を行うための対抗手段のひとつであると考えられる。移動中に切断する糸の本数で比較する限り、3種のカブリダニ間で糸切り行動の能力に大きな違いはない(各区10反復、Kruskal Wallis検定で有意差無し)。
成果の活用面・留意点
  1. 糸切り行動は、立体網の影響を軽減するための行動学的な対抗手段のひとつであると考えられる。糸切り行動をより詳細に研究することで、ナミハダニの有力天敵の生態解明に役立つ。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010001860
カテゴリ 害虫 生物的防除

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