タイトル |
脱水機構をもつ建設機械装着型堆肥切り返し機 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2004~2007 |
研究担当者 |
伊藤淳士
喜多孝一
宮浦寿美
向弘之
村上則幸
藤田直聡
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発行年度 |
2007 |
要約 |
パワーショベル装着のバケット型堆肥切り返し機である。可動式バケットのカバーと底部を使い、原料の圧搾・脱水と粉砕による切り返しを行う。本機により水分調整材を使用しなくても水分84%かつかさ密度550kg/m3までの家畜排せつ物の堆肥化促進が可能である。
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キーワード |
家畜排せつ物、建設機械、バケット、固液分離、堆肥化
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背景・ねらい |
北海道の酪農では、水分80%以上の高水分排せつ物を堆肥化するための水分調整材が不足している上に、冬季は堆肥化の促進も圃場への堆肥散布も困難なため、物質の循環サイクル構築が困難である。本研究では固液分離機能を持ち、酪農家現有の堆肥舎で水分調整材を使わずに家畜排せつ物の堆肥化を促進できる建設機械装着型堆肥切り返し機を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 開発機は根元と先端の2カ所が可動のカバーと、バケット底部による可変容量機構を備える。作業は原料(麦稈の混入した家畜糞尿)をすくい上げ、カバーによる充填・圧搾に続き、バケット返し動作による底部での再圧搾の後、カバーを連続開閉して粉砕しながら放出することにより行う(図1)。開発機はパワーショベルに装着するアタッチメントであり、バケット最大到達高はパワーショベルにより異なるが約7.2mである。仕様を表1に示す。
- 開発機のカバーは油圧制御により連続開閉できる。図1①の状態でのカバーの連続開閉による原料圧搾により脱水効率を高められ、圧搾時間1分間で水分は処理前の原料より最大約5%低下する。
- 作業能率は工程あたりの圧搾時間20~30秒(カバー開閉頻度:20~30回/分)で21.5t/時であり、慣行のフロントローダ(バケット容量1.2m3)利用の1/2~1/3である。水分は処理前の原料よりも1~2%低下する。また、処理による原料への空気の混入効果により、対照と比較してかさ密度も低下する(表2)。その他、尿だめ投入口付近で作業できない場合は、排汁の排出作業が必要である。
- 原料水分84%、かさ密度526kg/m3までの原料では、開発機による処理はローダによる切り返しと比較して品温が上昇する(表2)。乾物の減少も水分82%以下の原料(北農研試験)では1ヶ月の堆積で開発機による処理が35.5%に対し、ローダでは12.2%であり、開発機による処理が優る。
- 開発機による1回ないし、2回の処理で水分調製なしに堆肥化を促進できる原料の水分、かさ密度はそれぞれ84%、550kg/m3程度までである(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 無裁断の麦稈以外の敷料が混合された家畜糞尿については未検討である。
- 受注生産品(250万円)であり、7tクラス以上の一般的なパワーショベルに装着可能である。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010001770 |
カテゴリ |
乳牛
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