耕畜連携による稲発酵粗飼料の生産・利用の経営的評価

タイトル 耕畜連携による稲発酵粗飼料の生産・利用の経営的評価
担当機関 関東飼料イネ研究チーム
研究課題名
研究期間 2004~2008
研究担当者 大石亘
田口光弘
千田雅之
岡崎泰裕
畑原昌明(埼玉県農総研) 
発行年度 2006
要約 耕畜連携に参加する酪農経営及び耕種経営の所得が増加する条件は、稲発酵粗飼料の収量が技術開発の目標水準へ向上すること(DM換算1,055kg/10a)、あるいは稲発酵粗飼料の取引価格がDM1kg当たり36.1円から47.2円へ上がることである。
キーワード 稲発酵粗飼料、耕畜連携、営農計画モデル、経営的評価、線形計画法
背景・ねらい  稲発酵粗飼料の定着には、収量・品質の向上やコスト削減を可能とする新たな技術の導入が不可欠である。この新技術の導入を促進するには、導入効果を明示するとともに、問題点を摘出して改善策を講じる必要がある。そこで、飼料イネを生産する耕種経営、飼料イネを稲発酵粗飼料に調製するコントラクター、及び稲発酵粗飼料を利用する酪農経営が参加する耕畜連携を組み込んだ営農計画モデルを線形計画法により作成して、稲発酵粗飼料の生産と利用が経営に及ぼす効果を評価する。
成果の内容・特徴
  1. 埼玉県米麦二毛作地域を対象に、耕種経営、酪農経営及びコントラクターの個別営農計画モデル、並びにそれらを統合した、耕畜連携(図1)を組み込んだ営農計画モデル(図2)を作成して、稲発酵粗飼料の生産と利用の経済効果、耕畜連携が各経営に及ぼす効果を計測した。酪農経営は経産牛頭数規模により20頭規模と30頭規模の2類型、耕種経営は水田経営面積規模により8ha規模と16ha規模の2類型を設定した。
  2. 個別モデルによると、酪農経営における稲発酵粗飼料の利用の経済効果は大きい。稲発酵粗飼料を利用しない場合と利用する場合の粗所得(粗収益-変動費)を比較すると、20頭規模の経営では113万円、30頭規模の経営では225万円の増加である(表1の個別計画解)。一方、耕種経営では、現状の飼料イネの生産性のもとでは、小麦、大豆並みの転作助成金に加え、耕畜連携の助成があるにもかかわらず、飼料イネ生産を採用しない。飼料イネ生産が耕種経営の2類型で採用されるためには、水田経営面積10a当たり粗収益が9千円ほど向上する必要がある(表1の注[1])。
  3. 連携モデルの最適化の指標は各経営の粗所得の合計額とした。酪農経営の粗所得は、個別モデルの稲発酵粗飼料を利用する場合より微減し、稲発酵粗飼料を利用しない場合よりは20頭規模で95万円、30頭規模で220万円多い(表1の連携計画解の現状)。飼料イネの生産は16ha規模の耕種経営が担うが、その粗所得は1,509万円となり、個別モデルに比べ36万円減少する。各経営の粗所得の合計額は、279万円の増加である。
  4. 耕種経営の所得減少を招かない耕畜連携とするには、飼料イネ生産の10a当たり粗収益が9千円ほど向上する必要がある。この収益性の向上は、飼料イネの乾物(DM)収量が技術開発の目標(1,000kg/10a)に近い1,055kg/10aに達成することで実現する。また、稲発酵粗飼料の取引価格がDM1kg当たり36.1円から47.2円に上がることで実現するが、酪農経営の粗所得の増加が20頭規模で101万円、30頭規模で144万円にとどまる。
成果の活用面・留意点
  1. 稲発酵粗飼料の生産・利用における耕畜連携の条件を検討することに活用できる。
  2. 助成措置として、耕種経営に産地づくり交付金43千円/10a、耕畜連携(稲発酵粗飼料生産)13千円/10a、二毛作奨励(県単)7千円/10a、酪農経営に給与助成(稲発酵粗飼料)10千円/10a、耕畜連携(堆肥還元)13千円/10aを前提条件としている。
カテゴリ 経営管理 コスト コントラクター 水田 二毛作 乳牛

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