中山間地域営農における放牧導入の経済的効果

タイトル 中山間地域営農における放牧導入の経済的効果
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2004~2005
研究担当者 千田雅之
発行年度 2005
要約 兼業農家や高齢農家を担い手とする中山間地域では、放牧飼養による肉用牛繁殖経営の展開が、遊休農地の解消、農用地管理の省力化、農業所得の向上、農業労働報酬額の向上に有利である。
キーワード 中山間、遊休農地、肉用牛、放牧
背景・ねらい  中山間地域営農の再編方向の一つとして放牧等の低投入型営農への転換が期待されている。そこで、肉用繁殖牛と稲作を行う有畜経営モデルを作成し、この有畜経営が放牧技術を習得して、集落に畜産的土地利用を展開した場合の、集落全体の農業所得や労働時間の変化等を、線形計画法を用いた試算結果から明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
有畜経営が放牧技術を習得し、集落の遊休農地の管理を行う場合(遊休農地畜産利用)、有畜経営は労働力の制約や収益性から稲作を中止して繁殖牛を増やし、飼料作と放牧の畜産的土地利用を拡大した方が経済的に有利となる。また、有畜経営に全ての農用地管理を委ねた場合(全農用地畜産利用)、農用地は放牧利用を主とする畜産的土地利用が有利となり、繁殖牛は57.6頭に増加する。しかし、飼料購入量は増加し、飼料自給率は46.5%に低下する(表1)。
2.
有畜経営が所得下限目標を100万円として、最も省力的に集落の農用地を管理する営農を実施する場合(周年放牧省力管理)、繁殖牛の周年放牧飼養が主となり、飼養頭数は減少するが飼料自給率は80.4%に向上する(表1)。
3.
集落全体の農業所得は、現状の約356万円から、遊休農地畜産利用により約533万円に50%増加する。さらに、全農用地畜産利用の転換により、約698万円に96%増加する(図1)。
4.
集落全体の農業労働時間は、全農用地畜産利用への転換により約36%減少する。さらに、周年放牧省力管理を実施した場合、現状より73%少ない労働時間で遊休農地を発生させることなく、集落の農用地管理が可能になる(図1)。
5.
面積当たり農業産出額と要素投入量、及び労働報酬額をみると、粗収益は低いが費用や労働時間の少ない周年放牧省力管理による低投入型の営農が、労働報酬額が最も高く、労働力の減少する中山間地域の営農に適していると考えられる(図2)。
成果の活用面・留意点 1.
中山間地域農業の再編方策として放牧導入を検討する際の情報として有効である。
2.
本地に対する畦畔の割合が30%の狭隘な中国中山間地域の棚田における営農をモデルとする試算結果である。
3.
放牧を集落に展開する際、農家間の労務分担や地代配分等は別途検討する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010001656
カテゴリ 経営管理 経営モデル 省力化 中山間地域 肉牛 繁殖性改善 放牧技術

この記事は