土壌モデルを利用した線虫行動観察装置

タイトル 土壌モデルを利用した線虫行動観察装置
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2003~2005
研究担当者 伊藤賢治
乙部和紀
水久保隆之
発行年度 2003
要約 微細加工技術により製作した細孔ネットワークを土壌モデルとして用いることにより、土壌団粒内部に存在する細孔と同等の孔径を有する微細なネットワーク空間内における行動を観察できる装置である。土壌の物理的特性に対する線虫の応答特性を推定する手段として利用できる。
キーワード 線虫、行動特性、微細加工技術、土壌モデル、細孔ネットワーク
背景・ねらい
線虫が多く観察される土壌構造は、団粒内部の孔径30~90umの細孔ネットワーク空間であると言われており、土壌構造と生息適性との関連が指摘されている。しかし、土壌内における線虫の行動を直接観察することは困難であることから、直接観察可能な土壌モデルによる行動特性の推定手法が有効である。本成果は、団粒内部の細孔と同等の孔径を有する細孔ネットワークからなる土壌モデルを人工的に作出し、そのネットワーク内における行動を詳細に観察するための装置として利用することを目指している。
成果の内容・特徴 1.
本装置はマイクロメーターレベルの加工精度を有する微細加工技術を用いて、透明樹脂基板上に団粒内部の構造を模した細孔ネットワークを形成し、そのネットワーク内部に導入された線虫の行動を詳細に観察・計測する装置である。
2.
本装置の構成は、シリコーンゴムを原料として製作した透明樹脂基板と蓋ができる透明な格納容器からなる(図1)。基板表面には精密に加工された幅40~400um、深さ50umの矩形流路ネットワークが5.6mm角の範囲に規則的に形成され、基板が容器に密着・格納されることにより、流路が細孔として機能する。
3.
使用時は、予め水約2mlを容器に入れた状態で、微細加工面を上にして透明樹脂基板を完全に水没させて格納し、その上から容器の蓋を基板に押しつけて密着させた状態で使用する。蓋上面の線虫導入孔(直径約2mm)から水に懸濁した状態の線虫をマイクロピペットにより注入することで、水中を沈降した線虫が微細加工面に導入される。
4.
線虫導入孔から細孔ネットワーク中に導入されたサツマイモネコブセンチュウ二期幼虫は、細孔の凹凸を足がかりとして5mm/min(最小流路幅40um、流路間隔200umの基板上で、10秒間の連続移動距離から計算)の速さでネットワーク内を自律的に移動できる(図2)。さらに、水で満たされたきめの細かい細孔ネットワーク(最小流路幅40um、流路間隔200um)中では一定時間内に長距離の移動が可能であるのに対して、きめの粗いネットワーク(最小流路幅80um、流路間隔400um)中では短距離しか移動できない(図3)。
成果の活用面・留意点 1.
本成果により、土壌モデル内の行動を環境制御下で詳細に観察可能であることから、植物寄生線虫の生息を左右する環境(土壌)要因の推定・解析に活用できる。
2.
細孔ネットワークの形状・寸法は自由に設計・製作可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010001372
カテゴリ 加工 環境制御 シカ

この記事は