バイオセンサ構築のための分子配向・整列手法

タイトル バイオセンサ構築のための分子配向・整列手法
担当機関 (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2000~2002
研究担当者 乙部和紀
中尾秀信
発行年度 2002
要約 DNA懸濁液の毛細管現象を利用した気液界面移動制御により、伸張した状態のDNAを高密度に基板上の任意部位へ固定する手法である。高感度DNAチップやDNAを微細な導線として用いたバイオセンサの構築手法として利用できる。
キーワード バイオセンサ、分子配向、DNA、気液界面移動、毛細管現象
背景・ねらい 作業技術の高度化を図る方策のひとつとして、作物生育情報計測による精密圃場管理が挙げられる。作物生育情報収集手法として、極微量の化学物質(DNAや植物ホルモン、ストレスタンパクなど)を検出可能な高感度バイオセンサの導入が有効である。センサの高感度化を図るためには、検出対象物と結合する物質を高密度に整列させた基板が必要であることから、DNAを対象として基板上への高密度整列手法を開発する。
成果の内容・特徴 1.
DNA懸濁液を高い疎水性を有する基板上に滴下して、形成された液滴の気液界面移動を毛細管現象を利用して精密に制御することにより、基板上の任意の部位・範囲に伸張・整列したDNAを固定する手法である。
2.
気液界面の移動を利用してDNAをガラス基板上に伸張・固定して観察する手法は従来から知られていたが、DNA懸濁液の自然な流動で生じた気液界面移動に頼っていたため「流動制御が難しい」「大量のサンプルを必要とする」「伸張・固定方向の制御が難しい」などの問題があった。本成果では、液滴であれば毛細管現象により気液界面移動を機械的に制御可能なことを見いだし、これらの問題を克服している。
3.
装置は、内径1mmの毛細管を装着したマイクロマニピュレータと毛細管内圧力を制御するインジェクタ、電動ステージを備えた倒立顕微鏡を用いる(図1)。液滴の大きさはインジェクタにて懸濁液を吸引・排出することにより直径約0.5mmに制御し、液滴の位置を電動ステージにより至適速度で移動させることにより、伸長・整列した状態で固定されたDNAを得られる(図2)。
4.
図3に示すとおり、モデルDNAとしてファージDNA(48kbp、濃度0.04mg/ml)を用いた場合には液滴(気液界面)移動速度の上昇に伴って、液滴の中央・両サイドともに伸張DNA数が増加する。低移動速度では伸張されずに凝集状態で固定されたDNAが観察される割合が高い。
5.
ポリビニルカルバゾール、ポリフェナザシリンなどのベンゼン環を有するポリマーで被覆した基板表面は疎水性が高く、なおかつ伸張状態にあるDNAとの親和性が高いことから、シラン化基板よりも伸張状態のDNAが多数得られる(図4)。
成果の活用面・留意点 1.
本成果は作物生育情報を反映する遺伝子発現状態を検出するための高感度なDNAチップの製造や、DNAを微細な導線として利用したバイオセンサ構築の基盤技術として利用できる。
2.
DNAチップとして利用する場合には検出対象DNAの事前の特定が必要である。
3.
生体分子センサとして利用する場合には、当該分子の受容体をDNA上に固定化する技術開発が別途必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010001274
カテゴリ 圃場管理

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