タイトル |
細胞膜の温度安定性検定によるホウレンソウの耐暑性評価 |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究課題名 |
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研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
岡部昭典
佐久間青成
西村仁一
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発行年度 |
1998 |
要約 |
ホウレンソウの葉から採取したディスクサンプルを高温処理して細胞膜の温度安定性を検定することにより、耐暑性を安定的に評価することが可能である。
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背景・ねらい |
ホウレンソウは耐暑性が低く、夏期作では日中の高温により生育及び収量が大きな影響を受ける。植物は高温により光合成器官の細胞膜が障害を受け、光合成能力が低下して生育に障害が発生するが、耐暑性はこのような温度条件に対する耐性とみなせる。したがって高温による細胞膜の障害程度を定量化し、相対障害度として耐暑性の指標とすることが可能になる。そこで葉細胞膜の温度に対する安定性を検定することにより、ホウレンソウ品種の耐暑性を簡便かつ安定的に評価する手法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 図1の手順によって葉ディスクサンプルを含む溶液の電気伝導度を測定し、以下の計算により細胞膜の相対障害度を求めて耐暑性の指標とする。
相対障害度(%)={1-[1-(T1/T2)]/[1-(C1/C2)]}×100
- 細胞膜の相対障害度は供試材料の作期及び高温処理の温度や処理時間によって異なるが、その品種間差異は各条件とも同様であり、耐暑性の強い品種は常に相対障害度が低くなる(図2)。また作期が異なれば相対障害度は変動するが、品種間差異は同様の傾向が認められ、条件をそろえれば安定的な耐暑性評価が可能である。
- 図2で供試した品種を高温条件下で栽培した場合、耐暑性強と判定された品種は弱の品種に比べて常に光合成速度が高く、耐暑性評価を反映する結果が得られれた(図3)。
- 高温処理の温度は50℃、処理時間は30分が適当である。さらに植物体をハードニング処理することにより、その品種間差異が顕著になって耐暑性評価の精度が高まる。ハードニング処理条件は35℃、24時間程度が効果的である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 夏期のホウレンソウ栽培に適した品種の選定や耐暑性育種の現場に適用できる。また条件を変えることにより、他の野菜の耐暑性評価も可能である。
- 条件をそろえて栽培した材料を検定に用いる。また葉が老化すると相対障害度が著しく低下して評価が困難になるので、検定に供する葉ディスクは展開直後のなるべく若い葉齢の葉から採取する。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010000826 |
カテゴリ |
育種
耐暑性
品種
ほうれんそう
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